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パーキンソン病になりやすい人の特徴とは?確認しておきたい予防方法

パーキンソン病になりやすい人の特徴とは?確認しておきたい予防方法

病気の中には、なりやすい人と、そうでない人に分かれるものがあります。
「パーキンソン病になりやすい人を知りたい」といった方もいるのではないでしょうか。そこで、パーキンソン病について詳しく知りたい方のために、概要や原因、病気にかかりやすい人の特徴などについて紹介します。

この記事を読むことによって自分はなりやすいのか、どのような予防方法があるのかなどがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、神経難病であり、厚生労働省の指定難病です。1817年にイギリスの医師であるジェームス・パーキンソン氏によって最初の報告がされました。
一度発症した後は自然に良くなることはありません。平成24年度医療受給者証保持者数から推計された患者数は約108,800人であり、効果的な治療方法は未確立となっています。[1]

大脳と脊髄を結ぶ神経の幹である「脳幹」と呼ばれる部分にある中脳の神経細胞が減少する病気です。徐々に黒質と呼ばれる場所に存在する神経細胞が消失していきます。

症状は、ドパミン神経細胞が少しずつ減少することによって正常な状態よりもドパミンが欠乏することで発生します。
ドパミンは脳内ホルモンの一つであり、快楽物質とも呼ばれるものです。嬉しい時や楽しい時などに分泌される特徴を持っています。
また、ドパミンを産生する神経細胞は行動の組み合わせを考えたり行動を習慣化したりする役割を持った大脳基底核とそれに指示を与える大脳皮質にドパミンを分泌しているのですが、パーキンソン病になるとこれらが十分に分泌されません。
すると、体の動かし方がわからなくなったり、物覚えが悪くなったりする症状が現れます。

代表的な症状は、振戦(しんせん:震えのこと)のほか、手足がうまく動かせない、動作が遅い、体を後方に押された際にバランスがとれないなどです。

[1]

参考:難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)

パーキンソン病が起こる原因

原因はドパミン神経細胞の減少ではありますが、その詳しい原因はまだ明らかになっていません。ですが、食べ物やストレス、姿勢、遺伝とは以下のような因果関係がある、またはないことがわかっています。

関連記事:パーキンソン病の原因とは?代表的な症状と日常生活での対処法

食べ物との因果関係は証明されていない

食べ物との因果関係について、まだ詳しいところはわかっていません。ただ、いくつか関連していることはわかっています。

例えば、動物性脂肪を習慣的に過剰摂取してしまった場合、ドパミン受容体の機能が低下してしまう可能性があります。[2]

動物性脂肪を摂り過ぎないように注意しましょう。豚肉や鶏肉、牛肉といったものは特に控える必要がないとされていますが、バターやラード、それから高脂肪の乳製品の過剰摂取は避けておいたほうが良いです。

また、砂糖の取り過ぎも良くありません。砂糖の摂りすぎは腸内の悪玉菌を増やしてしまいます。

腸内細菌とパーキンソン病には関係があると考えられており、発症の原因となる可能性があることに加え、病気の進行とも関わっているとされるものです。[3]

普段の食生活の中で砂糖の摂取量が多いと感じる場合は注意しましょう。特に洋菓子などは動物性脂肪に加えて大量の砂糖が使われていることも多いです。甘い洋菓子を食べることが多い方は頻度を見直すなどしてみるのもおすすめです。

[2]

参考:新潟市医師会:私達はなぜ、動物性脂肪にハマってしまうのか?~質の高い健康長寿社会を目指す食・行動科学の進歩~

[3]

参考:(PDF)シンポジウム 「神経感染症と神経難病」:パーキンソン病と腸内細菌[PDF]

ストレスとの因果関係は証明されていない

ストレスとパーキンソン病との因果関係は証明されていません。

ただ、パーキンソン病になり不自由が増えストレスを溜め込んでしまう可能性はあります。
それから、強いストレスの後は症状が出やすいです。

これは、強いストレスの影響によって脳内で進んでいたドパミン欠乏が表面化するためと考えられています。[4]

健康的な生活を送るためにもストレスは溜め込まないようにしましょう。自分でも気づかないうちにストレスを溜め込んでしまう方も少なくありません。好きな趣味を楽しむ、体を動かす、しっかり睡眠をとるなどの方法でストレス解消を目指しましょう。

[4]

参考:愛知医科大学病院:パーキンソン病総合治療センター

姿勢との因果関係は報告されていない

パーキンソン病の症状の一つとして、前傾姿勢になることがあります。首が下がったり、腰が曲がったりするのが主な症状です。ただ、姿勢との因果関係は報告されていません。

遺伝との因果関係がある

パーキンソン病は遺伝する可能性が報告されています。その確率としては、10人に1人程度です。

遺伝子の関係を調べた研究では、ある特定の遺伝子変異を持っている場合、健常対象者と比較して2.5~4.7倍発症しやすいことがわかったとの報告もあります。[5]

遺伝する確率は10人に1人程度なので、ほとんど遺伝しないともいえます。ですが、若い年齢で発症する若年性パーキンソン病の場合、遺伝の影響を受けやすいです。

[5]

参考:(PDF)科研費NEWS 2016年度 VOL.2:新規パーキンソン病の原因遺伝子の発見[PDF]

パーキンソン病になりやすい人

どのような人がパーキンソン病のリスクが高いのでしょうか。ここでは、リスクが高く、注意しておきたい人の特徴を紹介します。

非社交的な性格の人

非社交的な性格の人は、人と触れ合わずに生活することが多く、脳への刺激が少なくなります。これにより十分なドパミンが分泌されず、パーキンソン病になりやすいといえるでしょう。
例えば、何か用事がない限り自分からは積極的に外出しない、知り合いからの誘いは断ることが多いといった方は要注意です。1人の時間を過ごすことが好きな方も注意しておきましょう。

関連記事:パーキンソン病になりやすい性格と気を付けたい生活習慣

感情の起伏が少ない人

パーキンソン病は「楽しい」「うれしい」などの気持ちを感じた時に多く分泌されるドパミンが欠乏することによって発症する病気です。
そのため、普段から感情の起伏が少ない人はドパミンが分泌されにくく、リスクが高まるといえるでしょう。
趣味や好きなことが特になく、毎日つまらないと感じている方は特に注意したいところです。

運動習慣のない人

運動はドパミンの分泌を促します。そのため、運動習慣のない人はある人と比較してリスクが高いといえるでしょう。

パーキンソン病の予防方法

予防するためには、ドパミンが分泌されやすい生活を意識すると効果的です。ここでは、効果的な予防方法を紹介します。

適度に運動する

日常生活の中で運動を取り入れてみましょう。

米国ニューヨーク大学が行ったマウスを使った研究があるので紹介します。研究では、ホイールランニングを行うマウスと、座りがちなマウスでドパミンシグナル伝達を比較しました。その結果、ホイールランニングを行っているマウスでは運動野でのドパミン放出が電気刺激に反応して増加したものの、座りがちなマウスには変化が見られなかったとのことです。
さらに、運動が終了してから1週間もドパミン放出の増加が見られました。[6]

そのため、毎日運動時間を確保するのが難しい方でも、定期的に運動の機会を取ると良いでしょう。適度に運動することは健康な体作りにもつながります。

忙しいなどの理由からなかなか体を動かす機会が作れない方でも、ちょっとした空き時間を見つけて軽く歩いてみたり、テレビを見ながらその場足踏みしたりする運動であれば取り入れやすいはずです。
「朝食の後に歩く」など、運動しやすいタイミングを見つけて週間化するのもおすすめです。

[6]

参考:LINKdeDIET:[運動] 運動はマウスのドーパミン放出を増加させる

ストレスを解消する

ストレスは直接的にパーキンソン病の原因になるものではありません。ですが、ストレスを溜め込んでいる方は精神的に落ち込みやすく、新たなチャレンジなどをしにくくなります。
すると、感情の起伏が生まれにくくなり、結果としてドパミンが分泌されにくくなることも考えられます。ストレスを溜め込むのではなく、好きなことをしたり運動をしたりしてストレス解消を目指しましょう。

カフェインを摂取する

ドパミン神経細胞を保護する働きがあるとされているカフェインを摂取するのも、予防に効果的とされています。

シンガポールでパーキンソン病の患者と対照者の合計4,488人を対象としたカフェインの摂取に関する研究があるので紹介しましょう。
研究の結果は、カフェィンを含むコーヒーや紅茶などを飲んでいる人は、全く飲まない人と比較して4~8倍発症しにくかったと報告されています。また、多くカフェインを摂取している人ほど発症が抑えられました。[7]

カフェインを摂取するだけで治療につながるとは言い切れません。ですが、カフェインは、コーヒーや紅茶のほか、緑茶など、普段取り入れやすいものに含まれています。
日々の生活の中で適度にカフェインを取り入れてみてはいかがでしょうか。

ただし、カフェインの摂りすぎは健康被害をもたらす可能性があるため、飲み過ぎないように注意が必要です。1日当たり3杯程度を目安にすると良いでしょう。

[7]

参考:The Lancet Regional Health – Western Pacific:Caffeine intake interacts with Asian gene variants in Parkinson’s disease: a study in 4488 subjects

社交的に生活する

すぐには難しいかもしれませんが、自身が非社交的であると自覚している方は、社交的な性格を目指すことも予防につながります。

社交的になって人と話をする機会を増やしたり、新しい体験を楽しめるようになったりすると、脳が刺激を受けます。
すると、ドパミンの分泌量が増え、パーキンソン病の予防になると考えられているのです。

人と接するのがあまり得意ではない方は、できるだけ知らない方との出会いや接触を避けようと考えることもあるでしょう。ですが、人との会話や新しい体験ができる環境を用意し、積極的に取り組んでいくことが重要です。
昔からの仲の良い友達などがいれば、そういった人を誘って旅行などに出かけてみるのも良いでしょう。また、地域行事や趣味のサークル活動に参加してみるのもおすすめです。

非社会的な方がはじめから大きな無理をして社会的に生活しようとするとストレスを感じることにもつながってしまうので、無理のない範囲で少しずつ実践してみてください。

パーキンソン病の検査方法

パーキンソン病が疑われる場合に行われる主な検査は、問診や画像診断、血液検査、尿検査です。

初めに神経内科で問診を行い、パーキンソン病の可能性が高いと判断された場合はCTやMRIなどを使って異常を確認していきます。これらの検査により、脳血管障害や脳腫瘍といったパーキンソン病以外の脳の病気が原因ではないか判断可能です。

パーキンソン病だった場合、通常CTやMRIでは異常が見つかりません。そのため、異状なしと判断された場合は検査や血液検査などに進む形となります。
パーキンソン病ではこれらでも異常が見られないため、異常なしと判断された場合は薬剤反応検査に進む形です。

薬剤反応検査では、主にL-ドパが使用されます。パーキンソン病の治療薬であるため、ここで効果が見られた場合はパーキンソン病の診断がつくことが多いです。
無効だった場合は必要に応じてその他の検査が行われるほか、その他の病気の可能性を疑いそれを特定するための検査が行われます。

パーキンソン病の薬

パーキンソン病であった場合、どのような治療が行われることになるのでしょうか。治療に使われる薬には以下のようなものがあります。

L-ドパ

治療において基本薬となるのが、ドパミン系薬剤であるL-ドパです。
ドパミンは直接を飲んだとしても脳内に届きません。L-ドパは、ドパミンの元となるL-ドパを補うための薬です。

L-ドパはほぼすべての患者に対して効果が期待できることや、効果の出現が早いことなどのメリットを持っています。

ただ、長期間にわたって使用していると特に若年例では薬がうまく効かない、反対に効きすぎて勝手に手足が動くなどの運動合併症が起こりやすいです。

運動合併症が起こる可能性が高いと判断された場合は「ドパミンアゴニスト」を使用することもあります。副作用の心配があってL-ドパの使用が難しい方のために開発されました。

COMT阻害薬

COMTとは、L-ドパを分解する働きを持った酵素です。COMTの働きを抑えることにより、脳の中へ移行するL-ドパを増加させられます。

MAO-B阻害薬

MAO-Bとは、ドパミンや、幸せホルモンとして知られているセロトニンを分解する働きを持った酵素です。COMT阻害薬と同様にMAO-Bの働きを抑えることによって脳内のドパミンの濃度を高める効果が期待できます。

抗コリン薬

パーキンソン病になると、脳内のドパミンとアセチルコリンとのバランスが崩れてしまいます。多くなっているアセチルコリンを抑えて相対的にドパミンを増やすのに役立つのが抗コリン薬です。

ただ、高齢者が抗コリン薬を取り入れた場合、認知機能障害につながってしまうことがあるため、注意が必要とされています。

パーキンソン病のデバイス治療

デバイス治療とは、ペースメーカーのように機器、デバイスを使った治療のことをいいます。ここでは、2つのデバイス治療について紹介します。

脳深部刺激療法

脳内に電極を埋め込み、持続的に電気刺激を送る治療法です。神経機能を修正制御できるようになることから、運動合併症の改善効果が期待できます。
脳神経外科医によって体内に装置が埋め込まれ、その後の刺激調整や長期管理は脳神経内科医によって行われる形です。[7]

埋め込んだ装置は、症状に合わせて体内から刺激を調整できるのが特徴です。
ただし、認知症の方や、うつ症状・幻覚がある方、高齢の方は適応外となることがあります。また、脳深部刺激療法の効果がほとんどないと考えられるような場合も適応外となるケースが多いです。[8]

[8]

参考:学校法人聖マリアンナ医科大学:パーキンソン病に対するデバイス治療(Device aided therapy)について

[9]

参考:(PDF)北海道大学病院:脳深部刺激療法 (Deep Brain Stimulation; DBS)[PDF]

レボドパ・カルビドパ空腸投与ゲル

あらかじめ胃ろうを作成し、小腸に留置したチューブを通してゲル状になったレボドパ製剤を送り込む方法です。持続的にレボドパが吸収されることから、一日中一定の状態を保てます。[9]

そのため、時間帯によって効きすぎたり、効かなかったりするといった心配がありません。日本では2016年から保険適用となりました。

レボドパ・カルビドパ空腸投与ゲルが薬剤治療の延長線上にある治療といえるのに対し、脳深部刺激療法は薬剤に頼らない方法であるといった違いが大きいです。

[10]

参考:兵庫県難病相談センター:パーキンソン病

パーキンソン病のリハビリテーション

治療では、薬物療法とリハビリテーションを組み合わせて行うことにより互いの効果を高められます。運動療法や作業療法、言語療法などのリハビリテーションが代表的です。

人によって症状や障害の程度が大きく異なることから、それぞれに合った形で取りいれていかなければなりません。先に医師に相談し心臓、腰、背骨、膝などに障害がないか確認してもらいましょう。

運動療法は、筋肉や関節を強化し、機能性の向上や運動不足の解消などを目的としたもので、ウォーキングやストレッチなどが代表的です。

ウォーキングなどの運動が難しい場合は、作業療法を実践しましょう。手の細やかな動きや寝返りなどうまくできなくなると私生活に大きな影響を与える機能を維持したり、改善したりするのが目的です。
リハビリプログラムとしては、日常生活動作訓練などが行われます。

また、パーキンソン病は多くの方が言語障害にかかってしまうことから、言語療法が行われることも多いです。例えば、声が小さい・かすれる、発音・発生がうまくできない、声が単調になる、アクセントやリズムに問題があるなどです。
パーキンソン病の症状が進行するにつれて言語障害も悪化しやすくなります。リハビリテーションで声を出すトレーニングを行うことにより、周囲との円滑なコミュニケーションを取ることにもつながるでしょう。

関連記事:パーキンソン病が進行する流れと注意しておきたい運動合併症

リスクが高い方は特に注意が必要

いかがだったでしょうか。どういった方はリスクが高いのかなどについて紹介しました。自分は注意しておくべきかご理解いただけたかと思います。
リスクが高そうな方は紹介した予防方法を実践してみてください。また、まだ詳しい原因がわかっていないので、すべての方が注意すべきとも言えます。

パーキンソン病は予防に取り組んでいたからといって必ずしも発症を抑えられるものではありません。気になる症状などがある方は、早い段階で一度病院に足を運び、診察を受けてみることをおすすめします。

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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。