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パーキンソン病とレビー小体型認知症の違いとは?併発時の症状・接し方と専門ケアの選び方

「最近、物忘れだけでなく、誰もいないのに『そこに人がいる』と言うようになった」「急にぼーっとしたり、しっかりしたりを繰り返している」といったご家族の変化に、戸惑いや不安を感じていらっしゃいませんか。
結論から申し上げますと、パーキンソン病とレビー小体型認知症は、どちらも脳内に「レビー小体」というタンパク質が蓄積することで起こる、いわば「兄弟」のような関係の病気です。症状が似ているため混同されやすいですが、運動症状と認知機能障害が現れる順番やタイミングに明確な違いがあります。
この記事では、両疾患の違いや、幻視・意識の変動への正しい接し方、そして症状が進行しても安心して暮らせる専門施設の選び方を詳しく解説します。この記事を読むことで、ご家族の現在の状態を正しく理解し、パニックにならずに落ち着いた対応ができるようになります。
パーキンソン病と認知症の深い関係と脳内に蓄積するレビー小体の影響
パーキンソン病とレビー小体型認知症は、どちらも「レビー小体病」という大きなカテゴリーに含まれる疾患です。一見、別の病気のように思われますが、その根本的な原因は共通しています。
脳内の神経細胞を阻害するレビー小体による広範な機能低下の仕組み
パーキンソン病やレビー小体型認知症の発症には、「α-シヌクレイン」というタンパク質が深く関わっています。このタンパク質が脳内で異常に凝集し、神経細胞の中に「レビー小体」という塊を形成します。
- レビー小体の影響
- レビー小体が脳内の神経細胞を阻害することで、ドーパミンなどの神経伝達物質が正常に作られなくなり、運動機能や認知機能に障害を引き起こします。
- 脳内の広がり
- レビー小体が脳のどの部位に蓄積するかによって、最初に出現する症状が変わります。中脳にたまれば運動障害(パーキンソン病症状)が、大脳皮質に広がれば認知機能障害が強く現れます。
【専門用語の補足】
α-シヌクレイン:健康な人の脳にも存在するタンパク質ですが、これが異常な形に変化して固まったものが「レビー小体」と呼ばれます。
パーキンソン病を伴う認知症(PDD)とレビー小体型認知症(DLB)の違いと見分け方
パーキンソン病の患者様が経過とともに認知症を発症する場合を「パーキンソン病を伴う認知症(PDD)」、最初に認知症の症状から始まる場合を「レビー小体型認知症(DLB)」と呼びます。これらは医学的に非常によく似ていますが、診断上は「1年ルール」という基準で区別されるのが一般的です。
運動症状と認知機能障害が現れるタイミングや順番の差異
以下の表は、両疾患の主な違いをまとめたものです。
| 特徴 | パーキンソン病を伴う認知症 (PDD) | レビー小体型認知症 (DLB) |
|---|---|---|
| 症状の順番 | 最初に手の震えや歩行障害などの「運動症状」が現れる。 | 最初に「物忘れ」や「幻視」などの認知機能障害が現れる。 |
| 時間的経過 | 運動症状が出てから1年以上経過した後に認知症を発症する。 | 認知症の発症と同時、あるいは発症から1年以内に運動症状が現れる。 |
| 主な初期症状 | 手の震え、動作が遅くなる、筋肉のこわばり。 | 幻視(見えないものが見える)、意識の変動、寝言(レム睡眠行動異常症)。 |
家族を戸惑わせる幻視や意識の変動に対する正しい接し方と対処法
レビー小体型認知症や、進行したパーキンソン病でよく見られるのが「幻視」や「意識の変動」です。これらは脳の機能低下によるもので、ご本人の意思とは関係なく起こっています。
「そこに虫がいる」といった幻視への否定しない対応と安心感を与えるテクニック
「知らない人が立っている」「壁に虫が這っている」といった訴えに対し、ご家族が「そんなのいないわよ!」と強く否定してしまうと、ご本人は「嘘をついている」と思われたと感じ、不安や不信感を募らせてしまいます。
- 否定せず受容する
- ご本人には「確実に見えている」ため、まずは「そうなんですね、不安ですね」とその方の世界を否定せずに受け止めることが大切です。
- 環境を整える
- 幻視は、暗がりの影や、壁のシミ、カーテンの柄などが原因で起こることがあります。部屋を明るくする、刺激の強い柄を隠すなどの工夫で改善する場合があります。
- 安心感を伝える
- 「私がいるから大丈夫ですよ」と優しく声をかけたり、背中をさすったりすることで、脳の過敏な状態が落ち着き、幻覚が消失することもあります。
日中や時間帯で変化する意識の波(頭の働きのムラ)に合わせたコミュニケーション
レビー小体型認知症の大きな特徴の一つに「認知機能の変動(意識の波)」があります。さっきまで普通に会話ができていたのに、数分後にはぼーっとして反応がなくなる、といった状態が繰り返されます。
意識の変動が激しい時期の介護における注意点と見守りのポイント
- 良い状態のときに大切な話をする
- 頭がはっきりしている時間帯を見計らって、食事や入浴、重要な相談などを行うようにスケジュールを調整しましょう。
- 「できない」ときに無理をさせない
- 意識が混濁しているときに無理に動かそうとすると、転倒やパニックの原因になります。状態が悪いときは、無理をさせず静かに見守ることが優先です。
- 変化を記録する
- どのような時間帯に、どのようなきっかけで意識が変化するかを記録しておくと、医師への相談や介護計画の立案に非常に役立ちます。
専門施設での非薬物療法と安全な生活環境づくりの重要性
パーキンソン病やレビー小体型認知症のケアでは、お薬による治療だけでなく、リハビリや環境調整といった「非薬物療法」が極めて重要です。
薬剤過敏性への配慮と専門知識を持つスタッフによる副作用の観察
レビー小体型認知症の方は、お薬に対して非常に敏感に反応してしまう「薬剤過敏性」という特性を持っていることが多いです。
- 副作用の早期発見
- 通常量の抗精神病薬などでも、急激に体が動かなくなったり(パーキンソン症状の悪化)、意識が遠のいたりすることがあります。専門知識を持つスタッフが、服薬後の変化を24時間体制で観察することが不可欠です。
- 緻密な服薬調整
- スーパー・コートでは、地域の神経内科専門医と密に連携しています。お一人おひとりの「オン・オフ現象(薬の効き目の波)」をスタッフが詳細に記録し、分単位の時間指定で服薬管理を行うことで、症状の安定化を図ります。
生活環境の調整による転倒予防と周辺症状(BPSD)の緩和アプローチ
レビー小体型認知症の方は、バランス感覚が低下する「姿勢反射障害」が起こりやすく、非常に転倒のリスクが高いのが特徴です。
- 環境のバリアフリー化
- 段差の解消はもちろん、手すりの配置や、幻視を誘発しない照明設定など、専門的な視点での環境づくりが必要です。
- BPSD(行動・心理症状)への対応
- 不安や焦燥感などの症状に対し、無理に抑え込むのではなく、専門スタッフが寄り添い、安心感を与えることで症状の緩和を目指します。
リハビリテーションやレクリエーションを通じた生活の質の向上
「動かないと、動けなくなる」という廃用症候群を防ぐため、スーパー・コートでは積極的なリハビリを提供しています。
- 専門職によるプログラム
- 理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が、パーキンソン病特有の「すくみ足」などにアプローチする専門プログラムを実施します。
- 生活リハビリの実践
- 単なる訓練だけでなく、着替えや移動などの日常動作そのものをリハビリと捉え、身体機能を維持します。
- 五感を刺激する工夫
- 音楽療法を取り入れた発声練習など、楽しみながら行える活動を通じて、嚥下機能(飲み込む力)や認知機能の維持を図ります。
難しい周辺症状もチームでサポートするスーパー・コートの専門的な認知症ケア
パーキンソン病やレビー小体型認知症は、進行に伴い介護の負担が増していく傾向にあります。ご家族だけで抱え込まず、専門的な医療・看護・介護の連携が取れた環境を選ぶことが、ご本人とご家族双方の安心につながります。
看護・介護・医療が連携してパーキンソン病や神経難病の方の暮らしを支える体制
スーパー・コートは、関西圏(大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀)を中心に、パーキンソン病などの神経難病ケアに特化した老人ホームを展開しています。
- 24時間看護・医療体制
- ナーシングホームタイプの施設では、看護師が24時間365日常駐しています。インシュリン、胃ろう、たん吸引などの高度な医療処置が必要な方や、ホーエン・ヤール重症度分類が進行した方でも、継続して入居いただけます。
- 神経内科専門医との連携
- 専門医による定期的な往診体制を整えており、微細な症状の変化に基づいた最適な服薬コントロールを実現します。
- 最期まで暮らせる住まい
- 「医療依存度が高くなると退去しなければならない」という不安はありません。看取り(ターミナルケア)まで、住み慣れたお部屋で穏やかに過ごしていただける体制があります。
パーキンソン病やレビー小体型認知症の介護でお悩みならスーパー・コートへご相談ください
ご家族の症状が進行し、ご自宅での介護に限界を感じ始めている方は、ぜひ一度スーパー・コートへご相談ください。私たちは、パーキンソン病やレビー小体型認知症といった、専門的なケアを必要とする方々の「質の高い暮らし」を全力でサポートいたします。
施設見学・入居相談のポイント
- 専門の相談員が、現在のお体の状態や介護のお悩みをお聞きし、最適なプランをご提案します。
- 大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀の各エリアに多数の施設があり、ご希望の地域で探すことが可能です。
- 薬の管理や夜間の見守りなど、具体的なケアの内容も詳しくご説明いたします。
- お電話やホームページからのお問い合わせを随時受け付けております。お一人で悩まず、まずは専門家と一緒に、これからの生活について考えてみませんか。
お申し込み・お問い合わせはこちら
パーキンソン病専門の介護施設に関する資料請求や、見学のご予約、入居に関するご相談を随時受け付けております。
- お電話でのご相談(通話料無料)
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監修者

花尾 奏一 (はなお そういち)
介護主任、講師
<資格>
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
<略歴>
有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。








