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老人ホームは何歳から入れる?最適な入居時期や50歳でも入れる介護施設を紹介

老人ホームは何歳から入れる?最適な入居時期や50歳でも入れる介護施設を紹介

「老人ホームには一般的に何歳から入居するものなの?」「若くても入居できる施設はあるのだろうか?」

ご自身やご家族の将来を見据え、老人ホームへの入居を考え始めた方の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、老人ホームに入居できる年齢の目安や、50代など比較的若い世代でも入居可能なケースについて解説します。

老人ホームを探し始めるのに適したタイミングや、入居前に準備しておきたいこともご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

老人ホームの入居可能年齢は60歳または65歳以上が一般的

介護スタッフと話す高齢女性

「老人ホーム」と一言で言っても、その種類は多岐にわたり、入居条件も施設ごとに異なりますが、多くの施設で年齢要件は60歳または65歳以上と定められています。

主な老人ホームの種類別に、入居できる年齢と要介護度の目安を以下に紹介します。

施設の種類 年齢の条件(目安) 要介護度の条件(目安)
サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上 自立~要介護5(施設による)
介護付き有料老人ホーム 65歳以上(施設による) 自立~要介護5(施設による)
住宅型有料老人ホーム 60歳以上(施設による) 自立~要介護5(施設による)
ケアハウス 60歳以上(夫婦のどちらかでも可) 自立~(介護型は要介護1以上)
グループホーム 65歳以上 要支援2以上・認知症の診断
特別養護老人ホーム(特養) 65歳以上 原則、要介護3以上
介護老人保健施設(老健) 65歳以上 要介護1以上
介護医療院 65歳以上 要介護1以上

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの民間施設では、上記はあくまで一般的な目安であり、施設が独自に入居基準を設定している場合があります。

また、年齢や要介護度以外にも、身元保証人の有無、認知症や医療的ケアへの対応可否、施設と同一市区町村に住民票があること(地域密着型サービスの場合)などが条件となるケースもあります。詳細は各施設のパンフレットや公式サイトで確認するか、直接問い合わせてみましょう。

関連記事:【表で解説】老人ホームの種類と違い!選び方のコツや費用を紹介!

50歳でも入れる老人ホームはある

車椅子に乗った高齢者と話す介護スタッフ

老人ホームへの入居は原則として60歳または65歳以上とされていますが、特定の条件を満たすことで、50代など60歳未満の方でも入居できる施設が存在します。

主に、以下のようなケースが挙げられます。

  • ✓40歳~64歳で、国が定める「特定疾病」により要介護認定を受けている場合
  • ✓年齢制限を設けていない、あるいは柔軟に対応する民間の老人ホームの場合

40歳~64歳で、特定疾病により要介護認定を受けている場合

40歳から64歳までの方(介護保険の第2号被保険者)であっても、国が指定する「特定疾病」が原因で要介護・要支援認定を受けた場合は、介護保険サービスを利用して施設に入居することが可能です。

特定疾病とは、がん(末期)や関節リウマチなど、加齢に伴い発症しやすくなるとされる病気のことです。 厚生労働省は、以下の16種類を特定疾病と定めています。

1.がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る) 1
2.関節リウマチ 2
3.筋萎縮性側索硬化症 3
4.後縦靱帯骨化症 4
5.骨折を伴う骨粗鬆症 5
6.初老期における認知症 6
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病 7
8.脊髄小脳変性症 8
9.脊柱管狭窄症 9
10.早老症 10
11.多系統萎縮症 11
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 12
13.脳血管疾患 13
14.閉塞性動脈硬化症 14
15.慢性閉塞性肺疾患 15
16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 16

引用:厚生労働省 特定疾病の選定基準の考え方

パンフレット等に「65歳以上」と記載されている特養などの介護保険施設でも、この条件に該当すれば入居が認められることがあります。

ただし、施設によっては必要な医療体制が整っていなかったり、他の入居者との年齢差が大きいことなどから受け入れが難しいと判断される場合もあるため、まずは各施設に直接問い合わせて相談してみることが重要です。

年齢制限のない民間の老人ホームの場合

民間が運営する「有料老人ホーム」の中には、年齢要件を柔軟に設定しており、50代でも入居可能な施設があります。

【介護付き有料老人ホーム】

介護付き有料老人ホームは、施設のスタッフから直接介護サービスを受けられる施設です。特定疾病が原因で要介護認定を受けている50代の方を受け入れているケースがあります。また、施設によっては介護保険を利用しない自費での契約を条件に、独自の基準で受け入れを判断する場合もあるため、相談してみる価値はあるでしょう。

【住宅型有料老人ホーム】

住宅型有料老人ホームは、生活支援が中心で比較的お元気な方の入居を想定している施設が多く、年齢制限を設けていない、あるいは60歳未満でも相談可能としている場合があります。

ただし、施設スタッフによる直接的な介護サービスは提供されないため、介護が必要になった際には、外部の訪問介護事業者などと個別に契約を結ぶ必要があります。

老人ホームに入居する時の平均年齢と入居のきっかけ

グラフを見るシニア夫婦

株式会社LIFULL seniorが2021年に実施した調査によると、実際に老人ホームへ入居する年齢は、どの施設タイプでも80代が最も多いという結果でした。

施設の種類 入居年齢の割合
全体 80代 46.4%、90歳以上 23.8%、70代 21.8%
有料老人ホーム 80代 47.7%、90歳以上 23.5%、70代 21.5%
高齢者向け住宅 80代 39.3%、90歳以上 29.1%、70代 16.2%
介護保険施設 80代 45.8%、90歳以上 27.1%、70代 21.4%

*調査上の分類
有料老人ホーム:介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホーム 17
高齢者向け住宅:サービス付き高齢者向け住宅・高齢者向け賃貸住宅・シニア向け分譲マンション・軽費老人ホーム 18

介護保険施設:特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設 19

出典:LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2021年4月発表)

80代での入居が多数を占める背景には、何らかの介護が必要になったことや、在宅での生活に限界を感じ始めたことなどが、施設入居の主な動機となっていることがうかがえます。

老人ホームへの入居を考えるきっかけの例は、以下の通りです。

  • ✓病気や骨折による入院後、退院しても自宅での生活に不安が残る
  • ✓要介護度が上がり、より専門的なケアが求められるようになった
  • ✓認知症が進行し、単身での生活が困難になった
  • ✓火の消し忘れや転倒など、自宅でのヒヤリハットが増えた
  • ✓介護する家族が高齢となり、体力的な負担が大きくなってきた
  • ✓車椅子での生活となり、バリアフリーでない自宅での暮らしが難しくなった

老人ホーム入居に最適な年齢とは

ポイントを指さす介護スタッフ

老人ホームへの入居に「何歳が最適」という絶対的な答えはなく、個々の目的によって最適なタイミングは異なります。

老人ホームに入居する目的 最適な年齢・タイミング
介護・生活支援を受けるため 年齢を問わず、介護や支援が必要になったとき
セカンドライフを楽しむため 心身ともに元気な60代後半~70代前半など

介護や日常生活のサポートを目的とするのであれば、年齢に関わらず、本人や家族が「必要」と感じたときが、入居を検討する最適なタイミングと言えます。

在宅での介護は、介護する側・される側の双方にとって大きな負担になり得ます。介護の専門家が常駐する老人ホームへ入居することで、本人は適切なケアを受けられ、ご家族の身体的・精神的な負担も軽減されるでしょう。

一方、アクティブなセカンドライフの実現を目的とするなら、仕事を引退し、心身ともに健康な60代後半から70代前半が適切な時期となるでしょう。お元気な方向けの施設では、サークル活動や旅行といったイベントも充実しており、同世代の仲間と交流しながら充実した日々を送ることができます。

老人ホーム探しは元気なうちにはじめるべき理由

老人ホームを見学する家族

たとえ介護目的の入居を考えている場合でも、老人ホーム探しはできるだけ心身ともに元気なうちから始めることを強くお勧めします。

その主な理由は、以下の2点です。

  • ✓探し始めてから実際に入居するまでには時間がかかるから
  • ✓心身に余裕がない状態では、冷静な判断が難しくなるから

探し始めてから入居までには時間がかかるから

老人ホームは、探し始めてすぐに希望通りの施設に入居できるとは限りません。

情報収集から見学、比較検討、申し込み、契約といったプロセスには、一般的に1か月から3か月程度の期間を要すると言われています。

さらに人気の施設、特に費用が比較的安価な公的施設である特別養護老人ホームなどは、満室で待機者リストに登録して待つことも珍しくありません。地域によっては、数ヶ月から数年単位の待機が必要となることもあります。

元気なうちから探し始めることで、複数の選択肢をじっくりと比較でき、待機期間も考慮に入れたゆとりのある計画を立てることが可能です。

心身に余裕がないと、冷静な判断が難しくなるから

体調が悪化したり、認知症が進行したりした後では、本人にとって最適な施設を選ぶことが非常に困難になります。

施設見学には1~2時間程度を要し、複数の施設を巡るには相応の体力が必要です。体調が万全でない状態では、施設まで出向くこと自体が大きな負担になりかねません。

また、認知症の症状によっては、施設の雰囲気やサービス内容を正しく理解し、自分に合っているかどうかを判断することが難しくなる可能性も考えられます。

元気なうちに本人が主体となって施設を見学し、自らの目で見て納得できる場所を選ぶことが、入居後の生活の満足度につながります。

老人ホームに入るために準備しておくべきこと

書類を準備する様子

将来の老人ホーム入居に備え、以下の点を準備しておきましょう。

  • ✓家族で将来について話し合っておく
  • ✓資金計画を立てておく
  • ✓施設見学をしておく

家族で話し合っておく

いつ頃、どのような目的で、どんな条件の施設に入りたいか、ご自身の希望を家族に伝えて話し合っておくことが何よりも重要です。

実際に介護が必要となり入居手続きを行うのは、ご家族というケースも少なくありません。本人の意思が事前に共有されていれば、ご家族もスムーズに手続きを進めることができ、本人の希望に沿った施設選びが可能になります。

話し合った内容は、エンディングノートなどに書き留め、ご家族に渡しておくとより確実でしょう。

資金計画を立てておく

老人ホームでの生活には、ある程度まとまった資金が必要です。ご自身の貯蓄や年金収入などを正確に把握し、無理のない資金計画を立てましょう。

予算を明確にすることで、選択可能な施設の範囲も具体的に見えてきます。

関連記事:老人ホームの入居費用はいくら?タイプ別の費用相場と払えない時の対処法

関連記事:大阪府の費用相場より安い介護付有料老人ホーム9選|年金だけで入居できる?

施設見学をしておく

自分に合った老人ホームを選ぶためには、必ず複数の施設を見学することが不可欠です。ウェブサイトやパンフレットだけでは伝わらない、施設の実際の雰囲気やスタッフの対応、他の入居者の様子などを肌で感じ取ることが大切です。

多くの施設で見学のほかに、食事の試食会や体験入居なども実施しています。積極的に参加し、心から納得できる施設を選びましょう。

【見学時のチェックポイント】

  • 施設の雰囲気や入居者の様子は、自分の希望するイメージと合っているか
  • 自宅からのアクセスや周辺の生活環境は便利か
  • 将来を見据えた医療・介護・看取りの体制は整っているか
  • スタッフや入居者の表情は明るく、コミュニケーションは活発か
  • 施設全体が清潔に保たれているか
  • 食事の味や食堂の雰囲気は自分に合いそうか

元気なうちに老人ホームに入る際の注意点

悩んでいる様子の高齢女性

セカンドライフの充実などを目的に、介護の必要がない元気なうちから老人ホームへ入居する際には、以下の2点に注意が必要です。

  • ✓入居者の平均的な介護度によっては、施設の雰囲気が合わないことがある
  • ✓将来、介護が必要になった際に転居が必要になる可能性がある

入居者の平均的な介護度と施設の雰囲気が合わないことがある

自立者向けの施設であっても、実際には介護が必要な方が多く生活している場合があります。そのような環境では、活発なレクリエーションなどを期待して入居しても、物足りなさを感じてしまうかもしれません。

逆に、まだ自分でできることまで過剰にサポートされることで、かえって心身の機能が低下してしまう懸念もあります。見学時には、入居者の平均的な年齢層や介護度を必ず確認しましょう。

将来、転居が必要になる可能性がある

お元気な方向けの施設に入居した場合、将来的に重度の介護や常時の医療的ケアが必要になった際に、その施設では対応できず、退去・転居を余儀なくされる可能性があります。

セカンドライフ目的で施設を選ぶ際も、将来介護が必要になった場合に、同じ施設内で介護度の高い方向けのフロアに移れるのか、あるいは外部の介護サービスをどの程度利用できるのかなどを確認しておくことが大切です。

まとめ:何歳から老人ホームに入るかは目的に応じて決めよう

談笑する高齢者たち

この記事では、老人ホームに入居可能な年齢や、最適なタイミングについて解説しました。

老人ホームへの入居可能年齢は60歳または65歳以上が一般的ですが、最適な入居時期は一人ひとりの目的によって大きく異なります。

  • 介護・生活支援が目的の場合:年齢に関わらず、支援が必要になったとき
  • セカンドライフが目的の場合:心身ともに元気な60代後半~70代前半が一般的

また、40歳~64歳の方でも特定疾病により要介護認定を受けていれば、入居可能な施設があります。

老人ホームへの入居は、人生における大きな決断の一つです。元気なうちから情報収集を始め、入居目的の明確化、資金計画、そして納得がいくまでの施設見学を行った上で、ご自身に最適な施設を選びましょう。

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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。

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