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老人ホームの平均入居期間はどのくらい?|費用相場や看取りができる施設を紹介

「老人ホームには、平均してどのくらいの期間入居するものなのだろう?」「施設の費用計画を立てたいけれど、入居期間が分からず困っている」
ご自身やご家族が老人ホームへの入居を検討し始めると、このような疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、老人ホームの種類ごとの平均的な入居期間や費用相場について解説します。
終身利用や看取りに対応している施設、入居時の平均年齢についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
老人ホームの平均入居期間

老人ホームの平均的な入居期間は、施設の目的や機能によって大きく異なります。
ここでは、主な施設別の平均入居期間をご紹介します。
※本記事で紹介する平均入居期間は、厚生労働省の調査報告書等に基づいています。あくまで目安としてご参照ください。
| 施設の種類 | 平均入居期間 |
| 介護付き有料老人ホーム | 約3年3ヶ月 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 約3年8ヶ月 |
| 住宅型有料老人ホーム | 約2年3ヶ月 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 約1年6ヶ月 |
出典:厚生労働省 高齢者向け住まい及び住まい事業者の運営実態に関する調査研究, 厚生労働省 介護老人福祉施設(参考資料)
介護付き有料老人ホームの平均入居期間
介護付き有料老人ホームの平均入居期間は、約3年3ヶ月です。
ただし、この施設は比較的お元気な方から要介護度の高い方まで幅広く受け入れているため、実際の入居期間は個々の状況によって大きく異なります。
介護が必要になったタイミングで入居し、生涯にわたって利用する方もいれば、特別養護老人ホームの入居待ちの間に短期的に利用する方もいます。そのため、10年以上の長期間にわたり生活される方も珍しくありません。
介護付き有料老人ホームを検討する際は、ご自身の利用目的に応じて入居期間を想定することが大切です。
特別養護老人ホーム(特養)の平均入居期間
特別養護老人ホーム(特養)の平均入居期間は約3年8ヶ月と、他の施設と比較して長い傾向にあります。
これは、特養が原則として要介護3以上の方を対象とし、「終の棲家(ついのすみか)」として看取りまでを前提として入居する方が多いことや、公的施設で費用が安価なため経済的な理由での退去が少ないことなどが背景にあります。
特養への入居を検討する場合は、平均余命なども参考に、長期的な視点で資金計画を立てると良いでしょう。
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の平均入居期間
住宅型有料老人ホームの平均入居期間は約2年3ヶ月、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は約1年6ヶ月と、他の施設に比べて短い傾向が見られます。
これらの施設は、自立あるいは要介護度が比較的低い方向けの生活支援が中心であり、施設スタッフが直接的な介護サービスを提供しないのが一般的です。
そのため、入居後に要介護度が上昇し、常時介護が必要になると、外部の介護サービス費用が高額になったり、施設での生活を続けることが難しくなったりして、介護付き有料老人ホームなどへ転居する方が多くなります。
これらの施設を検討する際は、将来介護が必要になった際の住み替えの可能性も視野に入れ、入居期間を想定することが重要です。
看取りができる老人ホーム

「終の棲家」として老人ホームを選ぶのであれば、看取りまで対応可能かどうかが重要な判断基準となります。施設の種類によって、看取りへの対応方針は異なります。
| 看取りに対応 | 施設により異なる | 原則として看取りは行わない |
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介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホームは民間施設であるため、看取りへの対応は施設の方針によって大きく異なります。近年は多くの施設で対応が可能となっていますが、看護師の配置体制などによっては対応が難しい場合もあります。
入居後のミスマッチを避けるため、事前にパンフレットやウェブサイトで確認し、見学の際には必ず看取りの具体的な対応について質問しておきましょう。
また、介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目的としたリハビリ施設であるため、本来は看取りを目的としていませんが、近年では看取りに対応する施設も増えてきています。
老人ホームの入居可能年齢と入居時の平均年齢

入居期間を試算する上で、入居できる年齢や、実際に何歳くらいで入居する方が多いのかを知っておくことも参考になります。
老人ホームの入居可能年齢は60歳または65歳以上が一般的
施設の種類ごとの一般的な入居可能年齢は、下記の通りです。
| 60歳以上 | 60歳または65歳以上 | 65歳以上 |
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施設の種類にもよりますが、多くの老人ホームでは入居可能年齢を60歳または65歳以上と定めています。
ただし、40歳から64歳までの方でも、国が定める「特定疾病」が原因で要介護認定を受けていれば、介護保険サービスを利用して入居できる場合があります。年齢要件を満たしていなくても、まずは諦めずに施設へ相談してみましょう。
老人ホーム入居時の平均年齢は80代が最多
ある調査によると、実際に老人ホームへ入居する年齢は、どの種類の施設でも80代が最も多くなっています。
| 老人ホームの種類 | 入居年齢の割合 |
| 全体 | 80代 46.4%、90歳以上 23.8%、70代 21.8% |
| 有料老人ホーム | 80代 47.7%、90歳以上 23.5%、70代 21.5% |
| 高齢者向け住宅 | 80代 39.3%、90歳以上 29.1%、70代 16.2% |
| 介護保険施設 | 80代 45.8%、90歳以上 27.1%、70代 21.4% |
*調査上の分類
有料老人ホーム:介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホーム
高齢者向け住宅:サービス付き高齢者向け住宅・高齢者向け賃貸住宅・シニア向け分譲マンション・軽費老人ホーム
介護保険施設:特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設
出典:LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2021年4月発表)
入居可能年齢よりも実際の入居年齢が高い背景には、多くの方が「介護が必要になった」ことをきっかけに施設探しを始めるという実情があります。
関連記事:老人ホームは何歳から入れる?最適な入居時期や50歳でも入れる介護施設を紹介
老後の一人暮らしは何歳まで可能?

特に一人暮らしの場合、いつまで自宅での生活を続け、どのタイミングで施設への入居を検討すべきか、多くの方が悩みます。その判断材料の一つとして、日本の平均寿命と健康寿命のデータが参考になります。
日本の平均寿命と健康寿命
最新のデータによると、日本の平均寿命と健康寿命は以下の通りです。
| 平均寿命 | 健康寿命 | その差 | |
| 男性 | 81.09歳 | 72.68歳 | 8.41年 |
| 女性 | 87.14歳 | 75.38歳 | 11.76年 |
出典:厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」「健康寿命の令和元年値について」
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活に制限なく生活できる期間」を指します。
つまり、平均寿命と健康寿命の差は、何らかの介護や支援が必要となる可能性がある期間を示しています。データ上では、男性で約8.4年、女性で約11.8年、日常生活に何らかのサポートを要する期間があることになります。
高齢者の一人暮らしのリスク
健康寿命を超えて一人暮らしを継続する場合、次のようなリスクが考えられます。
- ✓食事の準備や入浴などが困難になり、生活の質が低下する
- ✓転倒や急病の際に発見が遅れ、孤立死につながる
- ✓認知機能の低下に本人や周囲が気づきにくい
- ✓悪質な訪問販売や特殊詐欺などの犯罪被害に遭いやすくなる
- ✓火の不始末による火災のリスクが高まる
一人暮らしには気楽さや自由という利点もありますが、心身の機能が低下するにつれて、様々なリスクが増大することを認識しておく必要があります。
老人ホームの費用相場

老人ホームに入居するには、初期費用である「入居一時金」と、毎月支払う「月額利用料」が必要です。施設の種類別の費用相場は、以下の通りです。
| 施設の種類 | 入居一時金(目安) | 月額利用料(目安) |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 0円~数百万円 | 10万円~40万円 |
| 介護付き有料老人ホーム | 0円~数千万円 | 15万円~30万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 0円~数千万円 | 12万円~30万円 |
| グループホーム | 0円~数百万円 | 12万円~18万円 |
| 特別養護老人ホーム | 0円 | 5万円~15万円 |
| 介護老人保健施設 | 0円 | 8万円~20万円 |
| ケアハウス | 0円~30万円 | 6万円~20万円 |
| 介護医療院 | 0円 | 9万円~15万円 |
上記の金額に加え、医療費やおむつ代などの実費が別途必要になる場合があります。入居期間を想定するとともに、総額でいくら必要になるのか、詳細な見積もりを取得して資金計画を立てましょう。
関連記事:老人ホームの入居費用はいくら?タイプ別の費用相場と払えない時の対処法
まとめ:入居期間は施設の種類や目的をふまえて想定しよう

老人ホームの平均入居期間や入居時の平均年齢、費用相場などについて解説しました。
老人ホームの平均的な入居期間は、施設の種類によって大きく異なります。
- ✓介護付き有料老人ホーム:約3年3ヶ月
- ✓特別養護老人ホーム(特養):約3年8ヶ月
- ✓住宅型有料老人ホーム:約2年3ヶ月
- ✓サービス付き高齢者向け住宅:約1年6ヶ月
老人ホームへの入居期間を見積もる際は、ご自身の入居目的や、その施設が看取りまで対応しているか、将来的に転居の可能性があるかなどを総合的に考慮して想定することが大切です。
入居期間を具体的に想定することで、より現実的な費用計画を立てることが可能になります。
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監修者

花尾 奏一 (はなお そういち)
介護主任、講師
<資格>
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
<略歴>
有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。







