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老人ホームに入れない理由とは?入居待ちの要因や対策もご紹介

老人ホームに入れない理由とは?入居待ちの要因や対策もご紹介

老人ホームに入れない理由とは?入居を断られる原因や対策を解説

「希望に合う老人ホームを見つけたのに、入居を断られてしまった」という悩みを抱く方は少なくありません。老人ホームは、希望すれば誰もが入居できるわけではなく、各施設がそれぞれ入居条件を設けています。

これから施設探しを始める方や、一度入居を断られた経験がある方も、なぜ入居できなかったのか、その理由を正しく理解して対策を講じることが重要です。

本記事では、老人ホームに入居できない、あるいは長期間の入居待ちになってしまう主な理由と、その具体的な対処法について分かりやすく解説します。施設選びに、ぜひお役立てください。

老人ホームが入居待ちになる主な要因

施設でスタッフと話す高齢の女性

高齢者人口の増加に伴い、老人ホームへの入居希望者も増え続けています。特に費用負担が比較的軽い公的施設では、多くの待機者が発生しているのが現状です。

入居には優先順位があるから

老人ホームの中でも、社会福祉法人や地方自治体が運営する「特別養護老人ホーム(特養)」は人気が高く、入居待ちとなることが非常に多い施設です。

特養では、申し込んだ順番ではなく、より介護の必要性が高い方から優先的に入居できる仕組みが採用されています。 自治体ごとに定められた基準に基づき、要介護度や認知症の程度、ご家族の介護状況などが点数化され、その合計点数が高い方から入居が決まります。

そのため、特養の入居条件である「原則要介護3以上」を満たしていても、より緊急性の高い方が他にいる場合は、入居の順番が後になる可能性があります。

【参考:要介護度の状態像の目安】

区分 状態の目安
要支援1 基本的な日常生活は自立しているが、掃除などの家事の一部に手助けが必要な場合がある。
要支援2 立ち上がりや歩行にふらつきが見られることがある。身支度や家事の一部に見守りや介助が必要。
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定で、排泄や入浴の際に見守りや一部介助が必要となる。
要介護2 自力での立ち上がりや歩行に支えが必要。食事や排泄、入浴にも一部介助が必要となる。
要介護3 自力での立ち上がりや歩行ができない。食事、排泄、入浴、着替えなど日常生活全般で介助が必要。
要介護4 介護がなければ日常生活を送ることが困難。思考力や理解力の低下が見られることも。
要介護5 寝たきりの状態で、生活全般において介護が不可欠。意思の疎通も難しい場合が多い。

関連記事:要介護認定とは?要支援と要介護の違いや認定の申請方法について紹介

施設の数が需要に追いついていないから

介護を必要とする高齢者人口の増加に対し、受け皿となる施設の整備が追いついていないことも大きな要因です。

特に都市部では、用地確保の難しさや建設コストの高さから施設の増設が容易ではなく、需要と供給のアンバランスが生じています。

また、施設に空室があったとしても、介護職員の人材不足により、新たな入居者を受け入れる体制を整えられないというケースも少なくありません。 これらの複合的な理由から、多くの施設で入居待ちが発生しているのです。

老人ホームから入居を断られる5つの理由

悩んでいる様子の高齢者

入居待ちだけでなく、申し込みの段階で入居を断られてしまうケースもあります。その主な理由は以下の5つです。

  1. 施設の入居条件を満たしていない
  2. 必要な医療的ケアに対応できない
  3. 集団生活が困難と判断される
  4. 感染症にかかっている
  5. 費用の支払いが難しい

1. 施設の入居条件を満たしていない

老人ホームは、その種類ごとに受け入れ可能な方の年齢や要介護度が定められています。この条件に合致しない場合は、入居できません。

代表的な施設の入居条件は以下の通りです。

【公的施設】

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):原則65歳以上で要介護3以上の方。
  • 介護老人保健施設(老健):65歳以上で要介護1以上の方。在宅復帰を目的としたリハビリ施設のため、長期の利用はできません。
  • 介護医療院:65歳以上で要介護1以上の方で、長期的な医療と介護を必要とする方が対象です。
  • ケアハウス(軽費老人ホーム):【一般型】60歳以上で自立した生活に不安のある方。【介護型】65歳以上で要介護1以上の方。

【民間施設】

  • グループホーム:65歳以上で要支援2以上、かつ医師による認知症の診断を受けている方。施設が所在する市区町村に住民票があることも条件です。
  • 介護付有料老人ホーム:多くは60歳または65歳以上。自立から要介護5まで幅広く受け入れていますが、施設によっては「介護専用」などの条件があります。
  • 住宅型有料老人ホーム:多くは60歳または65歳以上。主に自立〜軽度の要介護状態の方が対象です。
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):原則60歳以上、または要介護認定を受けている60歳未満の方。

2. 必要な医療的ケアに対応できない

胃ろう、インスリン注射、たんの吸引、在宅酸素療法など、日常的に医療的な管理が必要な場合、施設の看護体制によっては受け入れが困難になることがあります。

特に、夜間に看護職員が常駐していない施設では、緊急時の対応が難しいため入居を断られる可能性が高くなります。 一方で、24時間看護職員が常駐していたり、クリニックが併設されていたりするなど、医療体制の充実した施設も増えています。

持病をお持ちの方は、必要となる医療ケアの内容を正確に施設側へ伝え、対応が可能かどうかを事前に入念に確認しましょう。

3. 集団生活が困難と判断される

怒っている様子の高齢者

老人ホームは共同で生活する場であるため、他の入居者やスタッフに対して暴力や暴言、著しい迷惑行為が見られる場合は、入居を断られることがあります。

これらは認知症のBPSD(行動・心理症状)として現れることもありますが、他の入居者の安全な生活を守るという観点から、受け入れが難しいと判断されるケースです。 ただし、認知症ケアを専門とする施設や、個別対応が可能な施設であれば入居できる可能性も残されています。

4. 感染症にかかっている

インフルエンザ、ノロウイルス、疥癬(かいせん)、結核といった、他者へ伝染する可能性のある感染症に罹患している場合は、完治が確認されるまで入居できません。 高齢者は免疫力が低下しているため、施設内で感染症が拡大すると重篤な事態を招きかねないためです。

多くの施設では、入居前に健康診断書や主治医の診療情報提供書の提出を義務付け、感染症の有無を確認しています。

5. 費用の支払いが難しい

施設の利用料を継続的に支払うことが困難であると判断された場合も、入居は認められません。 生活保護を受給している場合は、その受給額の範囲内で利用できる施設を探す必要があります。

生活保護を利用している方は、まず担当のケースワーカーや地域包括支援センターに相談し、入居可能な施設を紹介してもらうことから始めましょう。 特別養護老人ホームなどの公的施設に加え、生活保護受給者を受け入れている民間施設もあります。

老人ホームに入れないときの対処法

相談している様子の家族

もし希望する施設への入居を断られてしまっても、諦める必要はありません。適切な対処法を知っておくことが大切です。

入れなかった理由を明確にする

まずは、なぜ入居できなかったのか、施設の担当者や紹介元のケアマネジャーに理由を具体的に確認しましょう。理由がはっきりすれば、次に打つべき手が明確になります。

例えば「医療ケア」が原因であれば、そのケアに対応可能な他の施設を探す、あるいは主治医に相談してケアの方法を見直すといった、具体的な行動に移すことができます。

条件に合う他の施設を探す

老人ホームは、施設ごとに受け入れの基準が異なります。一つの施設で断られたとしても、別の施設では問題なく受け入れてもらえる可能性は十分にあります。

視野を広げ、様々な種類の施設に問い合わせてみることが重要です。自分たちだけで探すのが難しい場合は、地域包括支援センターや民間の高齢者向け住まい紹介センターなどに相談するのも有効な手段です。

入居待ちの期間を乗り切るための介護サービス

介護サービスを利用する高齢者

希望の施設に入居できるまでの間、在宅介護の負担を軽減するために利用できる公的なサービスがあります。

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしに関するよろず相談窓口です。 ケアマネジャーや社会福祉士といった専門家が、介護の悩み相談から利用可能なサービスの紹介まで、無料で対応してくれます。 入居待ちの間に利用できるサービスについて、具体的なアドバイスを受けましょう。

ホームヘルプサービス(訪問介護)を利用する

ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの「身体介護」や、掃除、洗濯、調理といった「生活援助」を提供するサービスです。 ご家族の介護負担を直接的に軽くすることができます。

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用する

老人ホームなどの施設に短期間宿泊し、24時間体制の介護サービスを受けられるのがショートステイです。 ご家族が病気や冠婚葬祭、旅行などで一時的に介護ができない場合に利用でき、介護者の休息(レスパイトケア)の確保にもつながります。 ご本人にとっても、施設の生活を体験する良い機会となります。

有料老人ホームへの入居も検討する

特別養護老人ホームなど公的施設の入居待ちが長期に及びそうな場合は、比較的スムーズに入居しやすい有料老人ホームを検討するのも一つの有効な選択肢です。

有料老人ホームは施設数が多く、自立の方から要介護度の高い方まで、様々なニーズに応えるサービスを提供しています。施設ごとの特色も豊かなので、希望に合った施設が見つかる可能性も高いでしょう。

関連記事:大阪府の費用相場より安い介護付有料老人ホーム9選|年金だけで入居できる?

入居先にお困りの方は、ぜひスーパー・コートへご相談ください

スーパー・コートのスタッフ

老人ホームへの入居を断られたり、長期間の入居待ちで困ったりすることもあるでしょう。大切なのは、その理由を正確に把握し、ご本人に合った施設を見つけるために諦めずに行動し続けることです。

公的施設に比べて入居待ちが少なく、多様なニーズに対応できる有料老人ホームも有力な選択肢となります。

スーパー・コートの有料老人ホームは、要支援1の方からご入居可能で、看護職員が日中常駐するなど、安心して毎日をお過ごしいただける体制を整えています。

老人ホーム探しでお困りの方は、ぜひ一度有料老人ホームスーパー・コートへお気軽にご相談ください。

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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。

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