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パーキンソン病のヤール重症度分類とは?ステージ別の症状・ケアと施設入居のタイミング

パーキンソン病と診断されると、「これから体はどうなっていくのか」という将来への強い不安を感じる方が少なくありません。その不安を解消し、適切な治療や介護の計画を立てるための重要な指標が「ヤール重症度分類」です。
結論から申し上げますと、ヤール分類による現在のステージを正しく把握することで、今必要なケアと将来への備えが明確になります。特に「ステージ3」は、転倒リスクが高まり、日常生活に介助が必要になり始める「生活の大きな分岐点」です。このタイミングで専門的な施設への入居を含めた検討を始めることが、ご本人とご家族のQOL(生活の質)を維持する鍵となります。
本記事では、日本神経学会のガイドラインに基づき、各ステージの症状と最適なケア、そして後悔しない施設選びのタイミングについて詳しく解説します。
パーキンソン病の進行を知る指標「ヤール重症度分類」の基礎知識
パーキンソン病は、脳内のドーパミンが減少することで、運動機能に支障が出る進行性の病気です。その進行度を客観的に評価するために世界的に用いられているのが「ヤール(Hoehn & Yahr)重症度分類」です。
日本神経学会のガイドラインに基づくステージ1から5の定義
日本神経学会のガイドラインでは、症状の広がりや身体能力に応じて、病期を1から5の5段階に分類しています。
| ステージ | 身体の状態(目安) |
|---|---|
| ステージ1 | 症状が体の片側のみに現れる。日常生活への影響は軽微。 |
| ステージ2 | 症状が体の両側に現れる。姿勢のアンバランスは見られない。 |
| ステージ3 | 姿勢反射障害(バランスを崩した際に足が出ないなど)が現れる。歩行に支障が出るが、自立は可能。 |
| ステージ4 | 日常生活に強い介助が必要になる。自力での歩行や立位は何とか可能な状態。 |
| ステージ5 | 車椅子または寝たきりの状態。全面的な介助が必要。 |
身体状態とあわせて確認したい生活機能障害度とは
ヤール分類と併せて、厚生労働省の指定難病の医療費助成制度などで指標とされるのが「生活機能障害度」です。これは、日常生活がどの程度自立しているかを「度1(自立)」から「度3(全面介助)」の3段階で評価するものです。
ヤール分類が「運動機能の進行」を示すのに対し、生活機能障害度は「実際の生活能力」を示します。主治医はこの両面から、現在の状態を総合的に判断します。
【ステージ別】パーキンソン病の症状変化と推奨されるケア
パーキンソン病は、ステージごとに直面する課題が異なります。早期からの適切な介入が、その後の進行を緩やかにすることに繋がります。
ステージ1・2:早期リハビリテーションと薬物療法の継続による自立維持
この段階では、多くの患者様が自立した生活を送っています。最も重要なのは、良好な状態を長く保つための「早期リハビリテーション」と「正確な服薬」です。
- 適切な薬物療法
- 脳内で不足しているドーパミンを補うL-ドパ製剤などの服用を、医師の指示通り正確に行うことが基本です。
- 運動習慣の定着
- 「動かないと、動けなくなる」という廃用症候群を防ぐため、ストレッチや散歩など、毎日続けられる運動を習慣化しましょう。
ステージ3:姿勢反射障害による転倒リスクへの対策と環境整備
ステージ3に入ると、バランスを崩した時にとっさに足が出ない「姿勢反射障害」が現れます。これにより転倒による骨折のリスクが急増するため、生活環境の見直しが急務となります。
日常生活の工夫とリハビリテーション専門職による助言の活用
この時期には、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)といった専門職のアドバイスを受けることが非常に有効です。
- すくみ足対策
- 歩き出しに足が止まってしまう「すくみ足」に対し、床に目印となる線を引く、リズムに合わせて歩くなどの工夫を導入します。
- 住宅改修の検討
- 手すりの設置や段差の解消など、介護保険を活用した住宅改修を行い、転倒を防ぐ安全な導線を確保します。
ステージ4・5:全面的な介助と24時間の見守り・医療的ケアの確保
症状が進行すると、立ち上がりや歩行が困難になり、日常生活のあらゆる場面で介助が必要になります。また、運動症状だけでなく、非運動症状(嚥下障害や認知機能の変化など)への対応も重要になります。
経管栄養や吸引など高度な医療ニーズへの対応
嚥下(飲み込み)障害が進行すると、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。状態に応じて、鼻チューブや胃ろう(経管栄養)、こまめなたん吸引など、医療的なサポートが必要になるケースが増加します。この段階では、24時間体制で看護師や介護士が見守る環境が望まれます。
難病の医療費助成と介護保険制度を正しく活用する方法
パーキンソン病の治療や介護には、公的なサポートを欠かすことができません。制度を正しく理解し、早めに申請を行うことが負担軽減に繋がります。
指定難病の受給者証による公費負担制度と申請の流れ
パーキンソン病は国の「指定難病」に定められています。ヤール分類ステージ3以上、かつ生活機能障害度2度以上(または軽症でも高額な医療を継続する場合)であれば、医療費の助成を受けることができます。
- 申請窓口
- お住まいの市区町村の保健所や福祉担当窓口で申請します。
- メリット
- 自己負担額の上限が設定され、経済的な不安を軽減しながら専門的な治療を継続できます。
介護保険サービスの仕組みと地域包括支援センターでの相談
パーキンソン病は介護保険制度における「特定疾病」に該当するため、40歳からサービスを利用することが可能です。
- 地域包括支援センター
- 介護に関する最初の相談窓口です。介護保険の申請代行や、ケアマネジャーの紹介などを行ってくれます。
- 利用できるサービス
- 訪問介護、デイサービス、福祉用具のレンタル、そして有料老人ホームへの入居費用の一部などが対象となります。
後悔しない老人ホーム選びと施設入居を検討するタイミング
「まだ早い」と思っているうちに症状が進み、緊急で施設を探さざるを得なくなるケースは少なくありません。余裕を持って情報を集めることが大切です。
QOLを維持するためにステージ3を目安に始める情報収集
施設入居を検討する一つの大きな目安は「ヤール分類ステージ3」です。
ステージ3で検討を始めるべき理由
- 転倒による骨折で急に動けなくなるリスクがあるため。
- ご本人の判断力や体力が残っているうちに、自ら見学して納得のいく場所を選べるため。
- 在宅介護におけるご家族の負担が、身体的・精神的に限界に達しやすい時期であるため。
パーキンソン病専門の介護・看護体制が整った施設の重要性
パーキンソン病は、他の疾患とは異なる「専門性」を必要とする病気です。施設を選ぶ際は、以下の体制が整っているかを確認してください。
- 厳格な服薬管理
- 薬の効果が切れる「ウェアリング・オフ現象」などを理解し、分単位での時間指定服薬に対応できるか。
- 専門的なリハビリ
- PT・OTが在籍し、パーキンソン病特有の症状に合わせたプログラムを提供しているか。
- 夜間の看護体制
- 夜間の急変や医療的ケアが必要になった場合でも、看護師が常駐しているか。
パーキンソン病の専門的な介護と安心の住まいはスーパー・コートへご相談ください
「スーパー・コート」では、関西を中心にパーキンソン病などの神経難病に特化した有料老人ホームを運営しています。私たちのケアの強みは、以下の3点に集約されます。
1. 神経内科専門医との連携による緻密な「服薬コントロール」
パーキンソン病ケアの核心は薬の調整です。当施設では地域の神経内科専門医と密に連携し、スタッフが日々の「オン・オフ現象」を詳細に記録。医師と情報を共有することで、お一人おひとりに最適な「分単位」の服薬管理を実現し、症状の安定をサポートします。
2. 専門職(PT・OT)によるパーキンソン病特化リハビリ
「動かないと、動けなくなる」を防ぐため、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が専門的なリハビリを提供します。すくみ足対策などの訓練に加え、食事や着替えといった日常生活そのものをリハビリと捉える「生活リハビリ」も重視しています。
3. 24時間看護体制による「終の棲家」としての安心
特にナーシングホームタイプの施設では、看護師が24時間365日常駐しています。症状が進み、胃ろうやたん吸引などの医療ニーズが高まっても退去する必要はありません。最期まで住み慣れたお部屋で、穏やかに過ごしていただける看取りの体制も整えています。
将来の生活に不安を感じていらっしゃる方は、ぜひ一度スーパー・コートへご相談ください。専門の相談員が、ご本人とご家族に寄り添った解決策をご提案いたします。
お申し込み・お問い合わせはこちら
パーキンソン病専門の介護施設に関する資料請求や、見学のご予約、入居に関するご相談を随時受け付けております。
- お電話でのご相談(通話料無料)
- 0120-532-029
- 資料請求・お問い合わせがしたい(無料)
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- 見学のご相談がしたい(無料)
- 見学予約(無料)
監修者

花尾 奏一 (はなお そういち)
介護主任、講師
<資格>
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
<略歴>
有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。






