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療養型病院とは?費用の内訳や目安・費用負担を減らせる制度を紹介

「療養型病院と一般の病院では、何が違うのだろう?」
「入院費用は一体いくらかかるのか?もし支払いが難しくなったらどうすれば?」
ご家族に長期的な医療ケアが必要となった際、このような疑問や不安を抱く方は少なくありません。
療養型病院とは、急性期の治療を終えて病状は安定したものの、引き続き長期にわたる医療的な管理やケアを必要とする方のための医療機関です。
この記事では、療養型病院の役割や費用の目安、そして経済的な負担を軽減するための公的制度について、分かりやすく解説していきます。
療養型病院とは、慢性期の患者さんを受け入れる医療施設

療養型病院(正しくは医療療養病床を有する病院)は、病気やケガの急性期治療を終え、病状が安定した「慢性期」の患者さんを対象とする医療施設です。
人工呼吸器の管理、たんの吸引、中心静脈栄養といった、ご自宅や多くの介護施設では対応が難しい医療的ケアを24時間体制で提供することを目的としています。
入院の可否は、患者さんの医療的な必要度を示す「医療区分」に基づいて判断され、より医療依存度が高い医療区分2・3に該当する方が優先的に入院できます。そのため、医療区分1に該当する方の新規入院は非常に難しいのが現状です。
| 区分 | 疾患・状態の例 | 医療ケアの例 |
| 医療区分3 (最も高い) |
✓スモン病 ✓意識障害 ✓難病など |
✓中心静脈栄養 ✓人工呼吸器の管理 ✓24時間の持続点滴 |
| 医療区分2 (中程度) |
✓パーキンソン病関連疾患 ✓肺炎 ✓重度の褥瘡(床ずれ)など |
✓1日8回以上のたん吸引 ✓気管切開のケア ✓酸素療法 |
| 医療区分1 (最も低い) |
医療区分2・3に該当しない方 | |
療養型病院はあくまで「病院」ですので、病状が安定したと判断されれば退院や転院を求められることがあり、生涯にわたる利用を前提とした施設ではありません。
療養型病院の入院費用

療養型病院の入院費用は、月額9万円〜15万円程度が一般的な目安ですが、患者さんの医療区分や所得によって大きく変動します。
費用の内訳と適用される保険
療養型病院は医療施設であるため、費用の大部分には公的医療保険が適用されます。 費用の主な内訳は以下の通りです。
- 入院基本料(医療費):治療、看護、検査などにかかる費用です。医療保険が適用され、自己負担は所得や年齢に応じて1〜3割となります。
- 居住費(光熱水費相当):滞在にかかる費用です。医療保険が適用され、自己負担は1日あたり370円ですが、所得などに応じて減額される場合があります。
- 食費:食事の提供にかかる費用です。医療保険が適用され、自己負担は原則として1食460円ですが、所得などにより減額される場合があります。
- その他の費用:おむつ代、寝巻きのレンタル代、個室を希望した場合の差額ベッド代などです。これらは保険適用外となり、全額自己負担です。
※2022年10月から、75歳以上の方で一定以上の所得がある場合の自己負担割合は、1割から2割に変更されています。
入院費用が高額になった場合の負担軽減制度

入院費用が支払えないと困った場合でも、自己負担額を大幅に軽減できる公的な制度があります。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担額が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超過分が後から払い戻される制度です。
例えば、70歳以上で一般的な所得(年収約156万~約370万円)の方の場合、1ヶ月の自己負担上限額は57,600円に設定されています。
払い戻しには申請から3ヶ月以上を要するため、一時的な支払いが難しい場合は、事前に入院前に「限度額適用認定証」を申請しておきましょう。 この認定証を病院の窓口へ提示することで、支払いを最初から自己負担上限額までに抑えることができます。
また、払い戻しを待つ間の生活費に困る方向けに、支給見込み額の一部を無利子で借りられる「高額医療費貸付制度」も存在します。
申請先は、ご自身が加入している健康保険(国民健康保険、後期高齢者医療制度、協会けんぽ、組合健保など)の担当窓口です。
療養型病院と他の介護・医療施設との違い

長期療養の選択肢として、療養型病院の他に「介護医療院」や「特別養護老人ホーム」が挙げられます。 これらは適用される保険や施設としての役割が異なるため、その違いを理解しておくことが大切です。
| 療養型病院 | 介護医療院 | 特別養護老人ホーム | |
| 主な目的 | 医療、治療 | 医療 + 生活(介護) | 生活(介護) |
| 適用保険 | 医療保険 | 介護保険 | 介護保険 |
| 医師の配置 | 手厚い(常勤) | 常勤 | 配置義務なし(協力医) |
| 主な対象者 | 医療区分2・3の患者 | 要介護1以上の高齢者 | 原則要介護3以上の高齢者 |
| 利用期間 | 長期入院も可能だが、終身利用は前提としない | 終身利用も可能 | 終身利用も可能 |
介護医療院:医療と介護を両立する施設
介護医療院は、長期的な医療管理と介護サービスを一体的に提供する施設です。2024年3月末で廃止された「介護療養型医療施設」の受け皿として創設されました。 療養型病院が持つ医療機能と、特別養護老人ホームが持つ生活の場としての機能を兼ね備えている点が特徴です。
特別養護老人ホーム(特養):生活の場としての施設
特別養護老人ホームは、常時介護が必要な高齢者のための生活施設です。 看護職員は配置されていますが、医師の常駐義務はないため、提供できる医療ケアには限界があります。 そのため、医療依存度が高くなった場合は退去し、病院へ転院しなければならないことがあります。
療養型病院のメリットとデメリット

療養型病院の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
| メリット | デメリット |
| ✓継続的な医療サービスを受けられる ✓介護施設では対応困難な方も利用できる ✓年齢や要介護度に関わらず入院できる |
✓医療保険適用外の費用が高額になることがある ✓病状が安定すると転院や退院を求められる場合がある |
療養型病院は医療ケアを中心に、24時間体制で対応してもらえるのが最大のメリットです。
しかし、病状によっては退院や転院を促される可能性があり、その際は医療体制の整った介護施設などを次の受け入れ先として探す必要があります。
まとめ:医療ニーズが高い方は有料老人ホームも選択肢に

療養型病院は、医療依存度の高い方が安心して長期療養できる重要な社会資源です。 しかし、あくまで「病院」であるため、生活の場としての機能やレクリエーション活動などは限定的です。
医療的なケアを受けながら、その人らしい豊かな生活も継続したいと考える方には、看護体制を強化した有料老人ホームも有力な選択肢となります。
「有料老人ホームスーパー・コート」では、協力医療機関との緊密な連携のもと、月2回の訪問診療と24時間の緊急対応体制を構築しています。 施設によっては看護職員が24時間常駐する「ナーシングホーム」として、パーキンソン病や重度の認知症の方など、高い医療ニーズを持つ方でも安心してお過ごしいただける環境を整えています。
療養先をお探しの際は、ぜひ一度スーパー・コートにご相談ください。
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監修者

花尾 奏一 (はなお そういち)
介護主任、講師
<資格>
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
<略歴>
有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。







