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老健と特養の違いとは?入居期間や費用の違いを徹底比較

「老健と特養は、具体的に何が違うのだろう?」「自分や家族には、どちらの施設が適しているのか?」こうした疑問にお答えするため、この記事では2つの施設の違いを分かりやすく解説します。
「介護老人保健施設(老健)」と「特別養護老人ホーム(特養)」は、いずれも公的な介護保険施設ですが、その目的と役割には大きな違いがあります。
それぞれの特徴から費用、入居可能な期間、メリット・デメリットに至るまで詳しく比較しますので、ご自身に合った施設を選ぶための参考にしてください。
【一覧表】ひと目でわかる老健と特養の違い

老健と特養の最も根本的な違いは、その目的にあります。老健が在宅復帰を目標にリハビリや医療ケアを提供する「中間施設」である一方、特養は長期的な生活を前提とした「暮らしの場」です。
この目的の違いから、老健には原則として入居期間の定めがありますが、特養では終身にわたる利用が可能です。両者の違いを一覧表にまとめました。
| 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) | |
| 目的・役割 | 在宅生活への復帰を目標とし、リハビリや医療的ケアを集中的に提供 | 常時介護を必要とする方が、生活の場として長期的に介護を受けながら暮らす |
| 運営法人 | 医療法人、社会福祉法人、地方公共団体など | 社会福祉法人、地方公共団体 |
| 入居条件 | 原則65歳以上で要介護1以上 | 原則65歳以上で要介護3以上 |
| 入居期間 | 原則3~6ヶ月(3ヶ月ごとに退所の可否を審査) | 終身利用を前提 |
| 待機期間の目安 | 数週間~数ヶ月 | 数ヶ月~数年単位 |
| 費用の目安 | 月額8~20万円(入居一時金は不要) | 月額5~15万円(入居一時金は不要) |
| サービス内容 |
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| 人員体制 | 医師、看護師、理学療法士などの医療専門職が手厚い | 介護職員、生活相談員などの介護・生活支援専門職が手厚い |
| 居室タイプ | ユニット型個室、従来型個室、多床室など | ユニット型個室、従来型個室、多床室など |
| メリット |
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| デメリット |
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| 向いている人 |
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老健と特養の違い①:施設の役割と目的

老健と特養では、施設の目的が明確に区別されています。
- ✓介護老人保健施設(老健):自宅へ戻ることを目指すための施設
- ✓特別養護老人ホーム(特養):長期間にわたり生活を送るための施設
介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指すための施設
老健は、病状が安定した方が自宅での生活に復帰することを目指し、リハビリテーションや医療的ケア、介護を受ける施設です。病院と自宅との中間的な役割を担い、特に病院退院後すぐに自宅へ戻ることに不安を感じる方に利用されています。
そのため、医師や看護師、理学療法士・作業療法士といった医療専門職が特養に比べて手厚く配置され、リハビリテーション設備が充実しているのが特徴です。
特別養護老人ホーム(特養):長期間にわたって生活するための施設
特養は、自宅での生活が困難になった中~重度の要介護者が、生活支援や身体介護を受けながら長期的に暮らすための施設です。多くの方が看取りまでを過ごすことから「終の棲家」とも呼ばれています。
そのため、介護職員の配置が手厚く、居室や食堂、浴室などの生活空間が快適に過ごせるように配慮されているのが特徴です。
老健と特養の違い②:入居の条件

老健と特養では、入居に必要とされる要介護度が異なります。
- ✓介護老人保健施設(老健):原則として要介護1以上
- ✓特別養護老人ホーム(特養):原則として要介護3以上
介護老人保健施設(老健):原則、要介護1以上
老健の入居条件は、原則として65歳以上で「要介護1」以上の認定を受けていることです。また、40歳から64歳の方でも、特定疾病が原因で要介護認定を受けていれば対象となります。
ただし、あくまで在宅復帰を目的としているため、リハビリの必要性が低いと判断された方や、常時高度な医療処置が必要な方は入居が難しい場合があります。
特別養護老人ホーム(特養):原則、要介護3以上
特養の入居条件は、原則として65歳以上で「要介護3」以上の認定を受けていることです。老健と同様に、40歳から64歳までの特定疾病による要介護認定者も入居対象です。
要介護1や2の方でも、重度の認知症により在宅生活が著しく困難であったり、ご家族からの虐待が疑われたりするなど、やむを得ない事情がある場合は「特例入所」として認められることがあります。
老健と特養の違い③:費用の目安
老健と特養は、どちらも公的施設であるため入居一時金はかからず、月額費用のみで利用できます。月額費用の内訳は、主に以下の3つの合計です。
月額費用 =「介護サービス費」+「居住費・食費」+「日常生活費」
介護サービス費は要介護度や施設の体制によって、居住費と食費は居室のタイプや所得に応じた負担軽減制度の適用有無によって変動します。
介護老人保健施設(老健):月額8万円~20万円程度
老健の費用は、特養と比較して高くなる傾向があります。これは、医師やリハビリ専門職の人員配置が手厚く、医療やリハビリ関連のサービスが充実しているためです。
ただし、老健の月額費用には、施設内で提供される医療費や薬代が含まれている点が大きな特徴です。そのため、入居中に風邪をひいた際の診察や薬代などを別途支払う必要はありません(※専門外の治療などを除く)。
特別養護老人ホーム(特養):月額5万円~15万円程度
特養は生活支援が中心となるため、介護サービス費が老健よりも低めに設定されており、費用は比較的安価です。所得に応じた負担軽減制度も利用しやすい仕組みになっています。
ただし、入居中に外部の医療機関を受診した場合の医療費や、処方された薬代は別途自己負担となります。
老健と特養の違い④:入居期間
入居できる期間は、老健と特養の最も明確な相違点の一つです。
- ✓介護老人保健施設(老健):在宅復帰までの短期利用が基本
- ✓特別養護老人ホーム(特養):終身にわたる利用が可能
介護老人保健施設(老健):在宅復帰までの短期間
老健は、終身利用を目的とした施設ではありません。入居期間は原則として3~6ヶ月とされ、3ヶ月ごとに心身の状態が評価され、退所して在宅生活に戻れるかどうかが判断されます。
厚生労働省の調査によれば、老健の平均的な在所日数は約10ヶ月(299日)であり、多くの方が1年以内に退所して次の生活の場へと移っています。
特別養護老人ホーム(特養):終身での利用が可能
特養は、生涯にわたって利用できることが最大の強みです。看取りまで対応する施設がほとんどであり、安心して長く暮らせる「終の棲家」としての役割を担います。
ただし、長期間の入院が必要になったり、施設では対応できない専門的な医療ケアが常時必要になったりした場合は、退所を求められる可能性もあります。退所の要件は施設ごとに異なるため、入居前に確認しておくことが大切です。
老健と特養の違い⑤:待機期間
申し込みから入居までの待機期間にも違いが見られます。
- ✓介護老人保健施設(老健):比較的短い
- ✓特別養護老人ホーム(特養):長くなる傾向がある
介護老人保健施設(老健):比較的短い
老健は入居者の入れ替わりが頻繁であるため、待機期間は特養に比べて短い傾向にあります。空きがあればすぐに入居できることもありますが、一般的には数週間から数ヶ月程度が目安となります。
近年、国が在宅復帰機能を強化した「在宅強化型」や「超強化型」の老健を推進していることから、今後さらに在所日数は短縮していくと考えられます。
特別養護老人ホーム(特養):長い傾向がある
特養は費用が安く終身利用が可能なため人気が高く、入居待機者は全国に約25.3万人(2022年度時点)いると報告されています。このため、申し込みから入居まで数ヶ月から数年単位の待ち時間が発生することも珍しくありません。
ただし、入居は申込順ではなく、介護の必要度や家族の状況などを点数化し、緊急性が高いと判断された方から優先的に案内されます。居室のタイプ(個室か多床室か)によっても、入居のしやすさは変わることがあります。
老健と特養の違いを理解し、最適な施設を選びましょう

ここまで解説してきたように、老健と特養は目的と特徴が大きく異なる施設です。
- 老健が向いている方:在宅復帰という目標を持ち、集中的なリハビリや医療ケアを希望する方
- 特養が向いている方:「終の棲家」として、費用を抑えつつ長期的に手厚い介護を受けたい方
ご自身の身体の状態や、今後の生活に何を望むかを明確にし、どちらの施設がよりご自身のニーズに適しているかを検討することが大切です。
しかし、特養は待機期間が長く、老健はいずれ退所しなければならないという、それぞれに課題もあります。そのため、老健や特養への入居を待つ間の「つなぎ」の住まいとして、あるいは老健を退所した後の「次」の住まいとして、民間の介護施設も併せて検討しておくと安心です。
介護付有料老人ホーム「スーパー・コート」は、そのような方々の選択肢の一つとして、充実したサービスをご提供しています。
スーパー・コートでは、看護職員と協力医療機関との連携により、医療的なケアが必要な方にも安心してお過ごしいただける体制を整えています。また、リハビリテーションはもちろん、日々の生活の楽しみとなる多彩なレクリエーションもご用意しており、老健が持つ医療・リハビリ体制と、特養が持つ安心の生活環境を両立させています。
施設選びでお悩みでしたら,ぜひ一度スーパー・コートにご相談ください。
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監修者

花尾 奏一 (はなお そういち)
介護主任、講師
<資格>
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
<略歴>
有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。







