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ターミナルケアとは?本人が自分らしく生きるために家族ができること

ターミナルケアとは?本人が自分らしく生きるために家族ができること

ターミナルケアとは?本人が自分らしく最期を迎えるために家族ができること

「ターミナルケア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ターミナルケア、すなわち終末期医療とは、病状が進行して回復の見込みがないと判断された方が、人生の最期を自分らしく穏やかに過ごすための医療・看護・介護ケアを総称するものです。
この記事では、ターミナルケアの具体的な内容、混同されやすい「緩和ケア」との違い、そしてケアを受ける場所ごとの特色について解説します。
ご本人とご家族が後悔のないお別れを迎えるために、ぜひご活用ください。

ターミナルケア(終末期医療)とは

ターミナルケア(終末期医療)とは ターミナルケアは、延命治療を積極的に行うのではなく、残された時間をいかに豊かに生きるか(QOL:生活の質を維持する)に主眼を置いたケアです。
ターミナルケアの目的と対象者
ターミナルケアの主な目的は、病気や老衰に伴う身体的な痛みや不快感を可能な限り取り除き、精神的な安らぎを保ちながら日々を過ごせるように支援することにあります。
対象となるのは、がんや老衰、認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など、病気の回復が見込めず、医師から余命が数ヶ月程度と診断された方々が中心です。
ただし、これはあくまで目安であり、ご本人やご家族が延命を強く希望する場合は、人工呼吸器の装着などの医療行為が継続されます。ターミナルケアへと移行するかどうかは、ご本人の意思が何よりも尊重されます。
ターミナルケアと類似するケアとの違い
ターミナルケアと混同されがちな「緩和ケア」「ホスピスケア」「看取りケア」との違いを理解しておくことは重要です。

ターミナルケア 緩和ケア ホスピスケア 看取りケア
主な目的 QOL(生活の質)の維持・向上、穏やかな最期 身体的・精神的苦痛の緩和 尊厳ある死(穏やかな最期)の実現 終末期の日常生活支援、平穏な看取り
開始時期 終末期 (治癒が望めないと判断されてから) 診断時 から(治療と並行して行う) 終末期 終末期の中でも、死が目前に迫ってから
内容の中心 医療・看護・介護の包括的ケア 医療的な苦痛緩和が中心 医療・看護・介護・スピリチュアルケア 食事や排泄、清潔保持などの介護が中心

最も大きな違いは**「緩和ケア」**との関係です。世界保健機関(WHO)は、緩和ケアを「がんと診断されたときから始めるべきケア」と位置づけており、治療と並行して実施されるのが特徴です。一方、ターミナルケアは、その緩和ケアを土台としつつ、治療が主体ではなくなった終末期に行われるケアと定義されます。

ターミナルケアの具体的な内容

ターミナルケアの内容 ターミナルケアは、身体的、精神的、社会的な3つの側面から、ご本人とご家族を総合的に支えます。
1. 身体的ケア(苦痛の緩和)
痛み、だるさ、息苦しさ、吐き気などの身体的な苦痛を、医療用麻薬などの薬剤を用いて和らげるケアです。
また、食事や排泄、入浴、着替え、床ずれ予防など、日々の暮らしの中で快適さを保つための介助も含まれます。口から食事が摂れなくなった際の栄養補給(経管栄養や胃ろうなど)も、本人の希望に基づいて実施されます。
2. 精神的ケア(心のサポート)
死への恐怖、家族への心配、やり残したことへの心残りなど、終末期にはさまざまな不安や葛藤が生まれます。
精神的ケアでは、ご本人の話に耳を傾け、つらい気持ちに寄り添い、不安や孤独感を軽減することを目指します。
好きな音楽をかけたり、愛用品を近くに置いたりするなど、ご本人がリラックスできる環境を整えることも重要なケアの一つです。
3. 社会的ケア(生活上の問題解決)
医療費の負担や遺産相続、遺品整理といった社会的な問題に対する不安を和らげるためのサポートです。
医療ソーシャルワーカーなどの専門家が、利用可能な公的制度の情報提供や手続きの支援を行い、ご本人とご家族が安心して療養に専念できる環境を支えます。

ターミナルケアで後悔しないために事前に話し合っておくべきこと

ターミナルケアで大切なこととは 終末期には、ご本人が自分の意思を明確に伝えられなくなることも少なくありません。元気なうちから将来について話し合っておくこと(人生会議/アドバンス・ケア・プランニング)が、後悔のない最期を迎えるために非常に重要です。
1. 延命治療に関する希望
万が一、回復の見込みがなく、口から食事ができなくなったり、呼吸が困難になったりした場合にどうしたいか、ご本人の意思をはっきりさせておくことが最も大切です。

  • 胃ろうや点滴による栄養補給を希望するか
  • 人工呼吸器の装着を希望するか
  • 心臓が止まった際に心肺蘇生を行うか

ご本人の希望が明らかであれば、ご家族も決断に迷うことなく、後悔を減らすことができます。
2. 最期を迎えたい場所
人生の最期をどこで過ごしたいかという希望も、事前に確認しておきましょう。それぞれの場所のメリット・デメリットを理解した上で、ご本人の希望とご家族の状況に合った場所を選ぶことが肝心です。

ターミナルケアを受ける場所とそれぞれの特徴

最期を迎えるためにターミナルケアを受ける場所
病院(緩和ケア病棟など)

  • メリット:医師や看護師が24時間常駐しているため、急な容体変化にも迅速に対応できる医療的な安心感が最大の利点です。
  • デメリット:面会時間に制限があり、住み慣れた環境ではないため、孤独感や窮屈さを感じることがあります。入院費用も高額になる傾向があります。

介護施設(特養、有料老人ホームなど)

  • メリット:介護スタッフによる24時間体制の日常生活サポートを受けられ、家族の介護負担を大きく軽減できます。他の入居者との交流が、孤独感の解消につながることもあります。
  • デメリット:夜間は看護師が不在の施設も多く、医療的な対応には限界があります。容体が悪化した場合、病院へ搬送されて最期は病院で迎えるケースもあります。

在宅(自宅)

  • メリット:住み慣れた環境で、家族と一緒にリラックスして過ごせることが最大の利点です。訪問診療や訪問看護、訪問介護などのサービスを組み合わせることで、自宅での療養が可能です。
  • デメリット:家族の身体的・精神的な介護負担が大きくなります。急な容体変化の際の不安も伴います。

有料老人ホームスーパー・コートの看取りケア

高齢者が心穏やかに過ごすための老人ホームならスーパー・コートがおすすめ ご本人とご家族が「どのような最期を迎えたいか」を事前に話し合い、共有しておくことが、後悔のないお別れにつながります。
『有料老人ホームスーパー・コート』では、ご入居者様が人生の最期まで尊厳を保ち、穏やかに過ごせるよう「看取りケア」に対応しています。
中でも、「スーパー・コート東住吉2号館」や「スーパー・コート高石羽衣」などのナーシングホーム(看護強化型施設)では、看護職員が24時間常駐し、がん末期の方や指定難病の方など、医療ニーズの高い方々の受け入れも可能です。
ご本人の心に寄り添い、ご家族の想いも大切にしながら、全スタッフで平穏な最期をサポートさせていただきます。
有料老人ホームスーパー・コートの医療体制はこちら 有料老人ホームスーパー・コートの見学お申し込みはこちらから→見学申込み
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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。

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