
column
コラム
公開日: 更新日:
有料老人ホームの敷金とは?入居一時金との違いや返金ルールを解説

有料老人ホームへの入居を検討する際、初期費用として「敷金」の支払いが必要となる場合があります。
一般的な賃貸住宅の契約で馴染みのある敷金ですが、有料老人ホームにおいてはどのような役割を持つのでしょうか。
この記事では、有料老人ホームにおける敷金について詳しく解説します。敷金の役割や他の初期費用との違い、支払い時の注意点などを正しく理解し、安心して施設選びを進めるための参考にしてください。
有料老人ホームの敷金とは

有料老人ホームの入居に際して支払いを求められることがある「敷金」とは、どのような性質の費用なのでしょうか。
まずは、敷金の基本的な意味合いから確認していきましょう。
そもそも敷金とは
敷金とは、賃貸物件の契約時に、借主が貸主(オーナー)に対して担保として預けるお金のことです。 金額は、家賃の2~3ヶ月分が一般的です。
預けられた敷金は、主に以下の目的のために利用されます。
- ✓家賃の滞納が発生した際の補填
- ✓退去時に借主の過失で必要となった部屋の修繕費用
賃貸物件から退去する際、普通に生活する中で生じる壁紙の日焼けや家具の設置による凹みといった損耗(経年劣化・通常損耗)を修繕する義務は、原則として貸主側にあります。
しかし、入居者の故意や不注意によって部屋に傷や汚れを生じさせた場合は、原状回復(部屋を入居時の状態に戻すこと)の費用を負担する必要があり、その費用が敷金から差し引かれます。 家賃滞納や修繕費を精算した後に敷金が残っていれば、その残額は退去時に返還されます。
有料老人ホームにおける敷金とは
有料老人ホームにおける敷金も、その基本的な役割は一般的な賃貸物件と同じで、月額利用料の滞納や居室の修繕費用に備えて施設に預けておく保証金です。
敷金が必要かどうかは施設によって異なり、特にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や一部の住宅型有料老人ホームなど、居住(賃貸借契約)の側面が強い施設で採用されることが多い傾向にあります。
また、高額な入居一時金が不要な「0円プラン」を設けている施設で、その代わりに敷金を設定しているケースも見られます。
有料老人ホームを退去するときに敷金は戻る?

敷金は、あくまで施設に「預けておくお金」であるため、原則として退去時に返還されます。
ただし、月額利用料の未払いがあったり、入居者の故意・過失による設備の破損などで原状回復費用が発生したりした場合は、その金額が敷金から差し引かれます。 そのため、必ずしも全額が返還されるとは限りません。
特に老人ホームでは、車椅子の使用による壁や床の傷など、どこまでが通常の使用による損耗で、どこからが原状回復の対象となるのか、判断が難しい場合があります。
入居契約を結ぶ際には、敷金の使途や原状回復の具体的な範囲について、契約書や重要事項説明書で十分に確認しておくことが非常に重要です。
有料老人ホームで敷金以外にかかる費用

有料老人ホームを利用する際は、敷金のほかにも様々な費用が必要です。
ここでは、有料老人ホームで必要となる主な費用について解説します。
入居時にかかる費用
有料老人ホームに入居する際、初期費用として入居一時金が必要な場合があります。
入居一時金は「前払金」とも呼ばれ、想定される入居期間の家賃やサービス費の一部または全部を前払いする性格のお金です。 施設によっては数千万円にのぼることもあります。 なお、法律に基づき、施設が倒産した場合などに備えて、前払金の保全措置が義務付けられています。
支払われた入居一時金は、施設が定める期間(償却期間)で毎月少しずつ償却(費用として計上)されていきます。 もし償却期間が終了する前に退去した場合は、未償却分が返還金の対象となります。
入居一時金と敷金の違い
入居一時金と敷金は、どちらも入居時に支払う費用ですが、その性質は全く異なります。
| 入居一時金 | 敷金 | |
| 支払う目的 | 家賃やサービス費などの前払い | 家賃滞納や修繕費用の担保 |
| 金額の目安 | 0円~数千万円 | 家賃の2~3ヶ月分程度 |
| 月額費用への影響 | 支払額に応じて月々の負担が軽減される | 影響なし |
| 返還の有無 | 未償却分があれば返還 | 滞納や修繕費を差し引いて原則返還 |
両者は目的、金額、返金のルールが大きく異なるため、混同しないように注意が必要です。
毎月かかる費用

有料老人ホームでは、初期費用に加えて毎月の利用料も発生します。
家賃(居住費)
施設の居室を利用するための費用で、一般的な賃貸住宅の家賃に相当します。 立地や居室の広さ、設備などによって金額は大きく変動し、月額10万円程度から数十万円以上まで幅があります。
入居一時金を支払った場合は、その一部が毎月の家賃に充当されることで、月々の支払額が減額される仕組みとなっています。
管理費
共用施設の維持管理費や事務・管理スタッフの人件費などに充当される費用です。 居室の水道光熱費が含まれる場合と、個人が使用した分を別途支払う場合がありますので、契約時に内訳をよく確認しましょう。
食費

1日3食の食事提供にかかる費用です。 月々の定額制を採用する施設もあれば、食べた分だけを支払う「喫食数精算」方式の施設もあります。 豪華な食事や特別なメニューを提供している施設は、その分食費が高額になる傾向があります。
生活費(その他)
おむつ代、理美容代、クリーニング代、趣味の活動にかかる材料費など、個人の生活スタイルに応じて発生する費用です。 特に、おむつなどの消耗品代は、有料老人ホームでは基本的に自己負担となります。
必要に応じてかかる費用
上記の費用以外に、心身の状態や施設の体制に応じて追加で発生する費用があります。
介護サービス費(自己負担分)

介護サービスを利用した場合、その費用のうち所得に応じて1~3割が自己負担となります。 要介護度が高いほど、自己負担額も高くなるのが一般的です。
その他の費用
施設によっては、以下のような費用が別途必要になることがあります。
- ✓上乗せ介護費:法律で定められた基準以上に介護・看護スタッフを手厚く配置している施設で、その人件費分として請求される費用。
- ✓介護保険適用外のサービス費:買い物代行や通院の付き添い、個別のアクティビティなど、介護保険の適用範囲外となる施設独自のサービスを利用した場合の費用。
費用の名目や内訳は施設ごとに異なるため、入居前にしっかりと確認し、ご自身に必要なサービスと総額を把握することが肝心です。
有料老人ホームの費用は契約形態によって異なる

有料老人ホームには主に3つの契約形態があり、それぞれ費用の考え方や権利関係が異なります。
利用権方式
施設に居住する権利と、介護や生活支援サービスを受ける権利が一体となった契約形態で、多くの介護付き有料老人ホームで採用されています。 入居時にまとまった入居一時金を支払うことで、終身にわたってその施設を利用する権利を得られるのが特徴です。 この権利は本人一代限りのものであるため、相続の対象にはなりません。
建物賃貸借方式
一般的な賃貸住宅と同じように、居室の家賃を支払う契約形態です。 主にサービス付き高齢者向け住宅や一部の住宅型有料老人ホームで採用されています。 介護サービスや生活支援サービスは、別途個別に契約する必要があります。 契約者が亡くなっても契約は自動的に終了せず、家族が借家権を相続できます。
終身建物賃貸借方式
都道府県知事の認可を受けた施設のみが採用できる特殊な賃貸借契約です。 入居者は亡くなるまで住み続ける権利が保障され、更新料は不要です。 契約者が亡くなった場合、同居していた配偶者は、申し出ることで引き続き居住できますが、賃借権を子が相続することはできません。
有料老人ホームで敷金を払うときの注意点

有料老人ホームで敷金を支払う際は、後々のトラブルを避けるために以下の点に注意しましょう。
- ✓契約時に、敷金がどのような費用(家賃滞納、修繕費など)に充てられるのかを確認する。
- ✓原状回復の範囲について、具体的な例を交えながら説明を受けておく。
- ✓退去時には、返還される金額だけでなく、差し引かれた費用の内訳が記された精算明細書を必ず確認する。
- ✓契約書や重要事項説明書は、退去後の精算が完了するまで大切に保管しておく。
万が一、敷金の返還をめぐって施設側とトラブルになりそうな場合は、一人で抱え込まずに国民生活センター(消費生活センター)や、弁護士による法律相談(法テラスなど)に相談することをお勧めします。
初期費用を抑えたい方は有料老人ホーム「スーパー・コート」へ

有料老人ホームの敷金は、家賃の滞納や万が一の修繕に備えて預ける大切なお金です。 原則として返還されるものですが、入居時にはまとまった資金を用意する必要があります。
「できるだけ初期費用を抑えて入居したい」とお考えの方は、敷金や入居一時金が不要な施設を選択するのも一つの方法です。
敷金が不要な有料老人ホームをお探しなら、ぜひ「スーパー・コート」をご検討ください。
「スーパー・コート」の母体は、顧客満足度調査で高い評価を得ているホテルチェーンの「スーパーホテル」です。 ホテル運営で培ったノウハウを活かした「おもてなしの心」で、ご入居者様に安心で心地良い暮らしを提供します。
多くの施設で入居時に敷金は不要ですので、初期費用を抑えたい方にもお勧めです。
有料老人ホーム「スーパー・コート」の見学お申し込みはこちらから→見学申込み
有料老人ホーム「スーパー・コート」の資料請求はこちらから→資料請求
有料老人ホーム「スーパー・コート」へのお問い合わせはこちらから→お問い合わせ
監修者

花尾 奏一 (はなお そういち)
介護主任、講師
<資格>
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
<略歴>
有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。







