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特定施設・特定施設入居者生活介護とは?施設の種類とメリット・デメリットを紹介

特定施設・特定施設入居者生活介護とは?施設の種類とメリット・デメリットを紹介

「『特定施設』とは、具体的にどんな施設を指すの?」
「『特定施設入居者生活介護』というサービスでは、何が提供されるのだろう?」
介護施設を探す中で、施設の公式サイトなどでこれらの言葉を見かけ、疑問に感じた方もいるかもしれません。
この記事では、「特定施設」と「特定施設入居者生活介護」について、言葉の意味からサービス内容、費用の目安までを詳しく解説します。 施設選びにおける重要な知識となりますので、ぜひ最後までお読みください。

特定施設・特定施設入居者生活介護とは?

介護施設のスタッフと談笑する高齢の男女
はじめに、この2つの言葉がそれぞれ何を指すのかを正確に把握しましょう。

  • 特定施設:人員の配置や設備、運営方法に関して介護保険法が定める基準を満たし、都道府県などから事業者として「指定」を受けた高齢者向け施設そのものを指します。
  • 特定施設入居者生活介護:上記の「特定施設」に入居している要介護認定者に向けて提供される、介護保険が適用されるサービス名のことです。

つまり、「特定施設」とは、国や自治体から一定水準以上の介護を提供できると公的に認められた、信頼性の高い施設と言えます。 手厚い人員体制と充実した設備を備えており、要介護度が高い方でも安心して生活できる環境が整っているのが特徴です。
この介護サービス費用は、要介護度別に設定された月々の定額制であるため、介護費用の見通しが立ちやすく、資金計画を立てやすいという大きな利点があります。

特定施設に指定される4種類の施設

介護施設の建物外観
「特定施設」として指定を受けると、その施設は広告などで「介護付き」や「ケア付き」と明記することが法的に許可されます。
特定施設の指定を受けられるのは、主に以下の4つの施設タイプです。

  • 有料老人ホーム
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
  • 養護老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

ただし、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に関しては、有料老人ホームの法的な定義にも合致する場合に限り、特定施設の指定対象となります。
関連記事:【表で解説】老人ホームの種類と違い!選び方のコツや費用を紹介!

特定施設で受けられる主なサービス

高齢女性の食事を介助する介護スタッフ
特定施設では、入居者一人ひとりの心身の状態に応じ、多岐にわたる包括的なサービスが提供されます。

ケアプランの作成

施設に所属するケアマネジャーが、入居者ごとの身体状況や個別の希望を反映した「特定施設サービス計画書(ケアプラン)」を作成します 日々の介護は、この計画に沿って提供されます。計画は定期的に評価・見直しが行われ、常にその時々の状態に最も適したケアが受けられる体制が整っています。なお、ケアプラン作成に関する自己負担費用は発生しません。

24時間体制の介護サービス

特定施設の最大の魅力は、介護スタッフが24時間常駐し、切れ目のないケアを提供できる点にあります。夜間の定期的な見回りも行われ、万一の緊急事態にも迅速に対応が可能です。
提供される具体的な介護サービスには、以下のようなものがあります。

  • 食事介助:安全に食事を摂取できるよう支援します。
  • 入浴介助:洗身や浴槽への出入りなどを安全に行えるようサポートします。
  • 排泄介助:トイレへの誘導やおむつの交換など、個人の尊厳に配慮しつつ介助します。
  • その他:更衣や移動の介助、服薬の管理など、日常生活の様々な側面を支援します。

生活支援サービス

身体的な介護だけでなく、日々の暮らしを快適に送るための生活支援サービスも充実しています

  • 居室の清掃
  • 洗濯
  • 買い物代行
  • 来訪者の受付・対応

機能訓練(リハビリテーション)

多くの特定施設では、日常生活を送る上で必要な身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練が提供されています 理学療法士や作業療法士といった機能訓練指導員が配置されており、個別のケアプランに基づいて歩行訓練や体操、楽しみながら参加できるレクリエーションなどを通じ、心身の活性化を促します。

特定施設の入居対象者

施設の窓から外を眺める高齢の男女
特定施設に入居できる条件は、施設の種別や運営方針によって異なります 特定施設入居者生活介護のサービスは、主に以下のタイプに分類されます。

サービスの種別 類型 主な入居対象者
特定施設入居者生活介護 介護専用型 原則として要介護1以上の方
混合型 自立・要支援1~2・要介護1~5の方
地域密着型特定施設入居者生活介護 原則として施設と同じ市区町村に住民票がある、要介護1以上の方
介護予防特定施設入居者生活介護 要支援1・2の認定を受けた方

※「地域密着型」は定員が29名以下の小規模な施設を指します。

特定施設入居者生活介護の自己負担額(目安)

電卓とペン、書類
特定施設入居者生活介護のサービス費用(介護保険自己負担分)は、要介護度に応じて月々の定額が定められています
下記は、自己負担割合が1割の場合の費用の目安です。お住まいの地域や施設の体制(加算)によって金額は変動します。また、この介護保険自己負担分とは別に、家賃、食費、管理費、おむつ代などの費用が別途必要となります。

要介護度 自己負担額(1割)の目安
(1日あたり)
自己負担額(1割)の目安
(1カ月30日あたり)
要支援1 182円 5,460円
要支援2 313円 9,390円
要介護1 543円 16,290円
要介護2 609円 18,270円
要介護3 679円 20,370円
要介護4 744円 22,320円
要介護5 814円 24,420円

※上記は2024年度介護報酬改定に基づいた基本報酬を単位数(1単位=10円)で計算したものです。実際には地域ごとの単価やサービスの加算により変動します。

特定施設に指定されるための3つの基準

特定施設の指定を受けるには、介護保険法が規定する「人員」「設備」「運営」の3つの基準をすべて満たさなければなりません これらの基準を理解することは、施設を比較検討する上での重要な判断材料となります。

人員基準

質の高いケアを提供するため、職種ごとに専門スタッフを配置することが法律で義務付けられています 特に、看護・介護職員の配置は「要介護者3名に対して1名以上(3:1)」が基本とされており、施設によってはこれを上回る「2.5:1」や「2:1」といった、さらに手厚い体制を整えている場合もあります。

職種 主な配置基準
管理者 1名(兼務可)
生活相談員 利用者100名に対し1名以上
看護・介護職員 ● 要介護者3名に対し1名以上
● 要支援者10名に対し1名以上
● 夜間も最低1名以上配置
機能訓練指導員 1名以上(兼務可)
計画作成担当者(ケアマネジャー) 1名以上(利用者100名に対し1名を標準)

※看護職員は、要介護者30名までは1名、以降50名が増えるごとに1名の追加配置が基本です。

設備基準

入居者が安全かつ快適に日常生活を送れるよう、施設や設備に関して詳細な基準が設けられています

  • 介護居室:原則として個室であり、プライバシーが確保され、介護に適した広さを有すること。
  • 浴室:身体が不自由な方でも安全に入浴できる設備を備えていること。
  • トイレ:各階に設置され、非常用ブザーなどを完備していること。
  • 食堂・機能訓練室:それぞれの活動に適した十分なスペースが確保されていること。
  • バリアフリー:車椅子でもスムーズに移動できる廊下幅やスロープなどが整備されていること。

運営基準

入居者一人ひとりの尊厳を守り、適切なサービスを提供するための運営上のルールが定められています

  • 契約・説明:入居契約の前に、重要事項を文書で交付・説明し、入居者の同意を得ること。
  • サービス提供:作成されたケアプランに基づきサービスを提供し、入浴は週に2回以上実施すること。
  • 医療連携:緊急時に備え、協力関係にある医療機関を定めておくよう努めること。
  • 苦情対応:苦情を受け付けるための窓口を設置し、迅速かつ適切に対応・記録すること。

特定施設のメリット・デメリット

メリットとデメリットについて考える人物
特定施設への入居を検討する上では、利点と欠点の両方を正しく理解しておくことが重要です。

特定施設に入居するメリット

  • 定額制で介護費用が分かりやすい:毎月の介護サービス費が要介護度に応じた一定額のため、資金計画が立てやすい。
  • 24時間体制の安心感:介護・看護スタッフによる手厚いケアを24時間いつでも受けられる。
  • 要介護度が上がっても住み続けられる:心身の状態が変化しても住み替えの必要がなく、「終の棲家」として長く暮らせる。

特定施設に入居するデメリット

  • 介護サービスの利用が少ないと割高に感じる:費用が定額制のため、サービス利用頻度が低い方にとっては費用負担が重く感じられる場合がある。
  • 外部の介護サービスは利用できない:入居後は、それまで利用していたデイサービスなどを介護保険を使って併用することはできず、利用を続ける場合は全額が自己負担となる。

まとめ:特定施設を理解し、最適な入居先を見つけよう

介護スタッフに手を引かれて歩く高齢女性
この記事では、「特定施設」および「特定施設入居者生活介護」について解説しました。 特定施設は、国が設けた厳しい基準をクリアした、24時間体制の介護が受けられる安心の居住空間です。 要介護度が変化しても住み続けられることから、「終の棲家」としての選択肢にもなり得ます。
その一方で、費用面や外部サービスの利用に制限があるといった側面も考慮する必要があります。 ご本人の心身の状態や希望する生活スタイルを十分に考慮し、最適な施設を選ぶことが何よりも大切です。
もし「介護付き有料老人ホーム」、すなわち特定施設の指定を受けた施設をお探しでしたら、ぜひ「スーパー・コート」をご検討ください。
「スーパー・コート」は、専門スタッフが24時間体制でご入居者様を見守る、特定施設の指定を受けた介護付き有料老人ホームです。 手厚い介護はもちろん、日々の生活に彩りを添えるレクリエーションやイベント、季節感を大切にしたお食事など、いきいきとした毎日を送っていただくための多様なサービスをご提供しています。
「スーパー・コート」の母体である「スーパーホテル」は、顧客満足度調査で8年連続No.1(※2023年時点)の評価をいただいたホテルチェーンです。 ホテル運営で培ったおもてなしの精神で、安心で快適な暮らしをお届けします。
施設見学は随時受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。

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