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園芸療法とは?得られる健康効果とやり方・受けられる施設を紹介

園芸療法とは?得られる健康効果とやり方・受けられる施設を紹介

「園芸療法にはどんな効果があるの?」
「老人ホームで園芸療法を勧められたけれど、具体的に何をするのだろう?」
園芸療法という言葉に触れた際、このような疑問を持つ方は少なくないでしょう。園芸療法とは、草花や野菜といった植物との関わりを通じて、心と体の健康を増進し、生活に潤いをもたらすことを目的としたアプローチです。
本記事では、園芸療法の目的や期待される効果、ご家庭での園芸との違いを分かりやすく解説します。また、具体的な進め方や、園芸療法を受けられる施設についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

園芸療法とは?

車椅子に乗った高齢女性が花のプランターを手入れしている様子
園芸療法とは、植物を育てる活動を通して、心身の健康回復や生活の質の向上を目指すリハビリテーションの一環です。
日本では医療施設や福祉施設、教育機関など幅広い分野で活用されています。 特に高齢者施設では、老人ホームやデイサービスなどでレクリエーションやリハビリテーションの一つとして取り入れられています。
ここでは園芸療法の概要について、以下の3つのポイントから詳しく解説します。

  • 園芸療法の目的
  • 園芸療法の対象者
  • 家庭で行う園芸との違い

園芸療法の目的

園芸療法の目的は、園芸活動を通して心身の機能回復を促し、QOL(生活の質)の向上を図ることにあります。
具体的には、以下のような目的を持ってプログラムが計画されます。

  • 身体機能の維持・改善:筋力や持久力、バランス能力の向上
  • 認知機能の維持・改善:注意力や記憶力、計画を立てて実行する能力の向上
  • 精神面の安定・向上:意欲や自尊心の向上、ストレスの軽減、抑うつ気分の改善
  • 社会性の維持・改善:他者との協調性やコミュニケーション能力の改善

植物に水をあげたり、種をつまんで蒔いたりといった作業は、五感を刺激しながら全身を動かすことにつながり、身体機能や認知機能の維持・改善が期待できます。
また、植物の成長を喜び、収穫の達成感を得ることは、心の健康や他者との交流のきっかけにもなります。

園芸療法の対象者

園芸療法は、リハビリテーションや心身のケアを必要とする、以下のような方が主な対象となります。

  • 病気やケガからの回復期にあり、リハビリテーションが必要な方
  • 認知症、精神疾患、知的障がいなどがあり、心身の機能回復を目指す方
  • 社会的な交流を通じて、生活に張りや楽しみを見出したい高齢者の方
  • ストレスや運動不足の解消、生活習慣病の予防に関心がある方

家庭で行う園芸との違い

園芸療法と家庭園芸の大きな違いは、専門的な視点に基づいた「目的」と「計画」がある点です。 家庭園芸が個人の趣味や楽しみであるのに対し、園芸療法は、対象者一人ひとりの心身の状態に合わせて、機能回復などの明確な目標を設定します。
その目標を達成するために、園芸療法の専門知識を持つスタッフ(園芸療法士など)が、安全に配慮したプログラムを計画的に実施します。
例えば、老人ホームの中庭で車椅子の方でも作業しやすい高さの花壇で野菜を育てたり、デイサービスの室内で指先の細かな動きを促すフラワーアレンジメントを楽しんだりと、個々の状態に合わせて計画が立てられます。

園芸療法で得られる3つの健康効果

収穫した野菜を手に持ち笑顔の高齢者たち
園芸療法で得られる効果は、大きく以下の3つに分けられます。

  • 身体的な効果
  • 精神的な効果
  • 社会的な効果

それぞれ詳しく見ていきましょう。

身体的な効果

園芸活動には、運動機能の維持・回復といった身体的な効果が期待できます。 立つ、座る、歩く、土を掘るなどの一連の作業には、全身の筋肉をバランスよく使う動作が多く含まれているからです。 運動や体操が苦手な方でも、園芸であれば楽しみながら自然に体を動かせます。
園芸療法で期待できる主な身体的効果は以下の通りです。

  • 運動不足の解消
  • 筋力やバランス能力の維持・向上
  • 体力の維持・回復
  • 生活リズムの改善

園芸療法は、一般的なスポーツに比べて運動強度が調整しやすく、体力に自信のない高齢者の方でも無理なく取り組みやすいのが特徴です。

精神的な効果

園芸療法には、ストレスの軽減や意欲の向上など、精神面で多くの良い効果が期待できます。
高齢期には、役割を失ったと感じたり、身体が思うように動かなくなったりすることで、生きがいを見失い、気力が低下してしまうことがあります。 植物の世話をすることで「自分がいないと枯れてしまう」という責任感が生まれ、生活に張り合いをもたらします。
また、種から育てた花が咲いたり、野菜が実ったりする過程は、大きな達成感や自己肯定感につながり、自信を取り戻すきっかけとなるでしょう。

社会的な効果

園芸療法は、他者との交流の場を生み出し、社会性を高める効果もあります。 園芸療法は個人で行うだけでなく、他の参加者やスタッフと協力しながらグループで行うことが多いからです。
「この花の植え方は…」「野菜がたくさん採れたね」といった自然な会話が生まれ、コミュニケーションが活発になります。
高齢になると外出の機会が減り、社会的に孤立しがちです。 園芸活動を通して外に出る目的ができ、人と関わることで、生きがいや喜びを感じる機会が増えるでしょう。

園芸療法の進め方

園芸療法の計画を立てているスタッフ
園芸療法は、以下のような手順で計画的に進められます。

  1. アセスメント(評価):対象者の心身機能や課題、興味・関心などを評価します。
  2. 目標設定:評価に基づき、達成可能な具体的な目標(例:指先の細かい動きを改善する)を設定します。
  3. プログラムの計画・実施:目標達成に向けた園芸プログラム(野菜作り、押し花など)を計画し、実施します。
  4. 再評価と検証:プログラム終了後、心身機能の変化などを再度評価し、目標の達成度を確認・検証します。

このサイクルを繰り返しながら、対象者の状態に合わせてプログラム内容を柔軟に見直していきます。

園芸療法が受けられる施設

老人ホームの庭で談笑する高齢者とスタッフ
園芸療法は、高齢者福祉施設のほか、病院、児童福祉施設、教育機関などさまざまな場所で実践されています。

高齢者福祉の分野では、下記のような施設で取り入れられています。

  • 有料老人ホーム
  • グループホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)

家庭では「転んだら危ないから」と心配されがちな土いじりも、介護施設であればスタッフの見守りのもと、安全な環境で安心して取り組むことができます。

まとめ:園芸療法で心と体を元気にし、生活の質を高めよう

プランターの花に水をやる高齢女性
今回は、園芸療法の目的や効果について詳しく紹介しました。
園芸療法は、植物と触れ合うことを通して、楽しみながら心身の健康維持・回復を図るアプローチです。 特に認知症の方に対しては、精神的な安定や意欲の向上、BPSD(行動・心理症状)の緩和などの効果が期待されています。
園芸療法は、楽しみながら体を動かしたい方、認知症予防に関心がある方、そして新たな生きがいを見つけていきいきと暮らしたい方におすすめです。
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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。

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