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介護度を上げるとデメリットがある?要介護ごとの違いや対策を解説

介護度を上げるとデメリットがある?要介護ごとの違いや対策を解説

介護度を上げるとデメリットがある?区分ごとの違いや適切な見直し方を解説

「要介護度は、高いほうが多くのサービスを受けられて得なのでは?」と考えている方はいませんか。実は、必ずしもそうとは限りません。ご本人の状態に合わない介護度になると、かえって費用負担が増えてしまうケースもあるのです。
介護サービスを上手に活用するためには、介護度の仕組みと、それによって生じるメリット・デメリットを正しく理解することが大切です。
この記事では、要介護度ごとに利用できるサービスの違いや、介護度を上げる(区分変更する)ことのメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。

「要介護認定」の基本的な仕組み

医師と話す高齢の女性
はじめに、介護保険制度と要介護認定の基本について確認しましょう。

介護保険制度とは

介護保険制度は、介護が必要になった高齢者やその家族を社会全体で支えるための仕組みです。40歳以上の国民全員が被保険者として保険料を納め、介護が必要になった際に、費用の補助を受けながら介護サービスを利用できます。
実際にサービスを利用する際は、原則として費用の1割(所得に応じて2割または3割)が自己負担となります。このサービスを受けるためには、お住まいの市区町村に申請し、「要介護認定」を受ける必要があります。

要介護認定とは

要介護認定とは、どのくらいの介護がどの程度必要かを客観的に判断するための審査です。認定結果は、心身の状態に応じて「要支援1・2」「要介護1〜5」、または介護の必要なしと判断される「自立(非該当)」のいずれかに区分されます。
この区分によって、利用できる介護サービスの種類や量、そして費用の補助が受けられる上限額(支給限度額)が決まります。なお、「自立」と判定された場合は介護保険サービスは利用できませんが、自治体が実施する介護予防事業などを利用できる場合があります。

【メリット】介護度が上がると利用できるサービスが増える

介護スタッフと話す高齢者
介護度が上がることの最大のメリットは、利用できるサービスの選択肢が広がり、支給限度額が上がることです。

介護度によって利用できるサービスが異なる

介護保険サービスは、大きく分けて「施設サービス」「居宅サービス」「地域密着型サービス」の3種類があり、介護度によって利用できる範囲が異なります。

施設サービス

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)など、施設に入居して24時間体制の介護を受けるサービスです。主に要介護1以上の方が対象となります。

サービス 要支援1・2 要介護1~5
特別養護老人ホーム(特養)
(原則要介護3以上)
介護老人保健施設(老健)
介護医療院

※「介護療養型医療施設」は2024年3月末で廃止されました。

居宅サービス

自宅で生活しながら利用するサービスです。ヘルパーが自宅を訪問する「訪問サービス」、施設に通う「通所サービス」、短期間宿泊する「短期入所サービス」などがあります。要支援・要介護のいずれの認定でも利用できますが、サービス内容には違いがあります。

地域密着型サービス

住み慣れた地域での生活を続けるために、市区町村が主体となって提供するサービスです。原則として、その市区町村の住民のみが利用できます。サービスによっては、要介護認定の方のみが対象となるものがあります。(例:夜間対応型訪問介護)

介護度が上がると支給限度額も上がる

在宅でサービスを利用する場合、介護度に応じて1ヶ月に介護保険で利用できる金額の上限(支給限度額)が定められています。介護度が高いほど、この限度額は高く設定されています。
例えば、2024年度の支給限度額の目安は以下のとおりです。(1単位10円で計算した場合)

  • 要支援1:50,320円/月
  • 要支援2:105,310円/月
  • 要介護1:167,650円/月
  • 要介護2:197,050円/月
  • 要介護3:270,480円/月
  • 要介護4:309,380円/月
  • 要介護5:362,170円/月

限度額の範囲内であれば自己負担は1〜3割で済みますが、超過した分は全額自己負担となります。そのため、介護度が高くなるほど、より多くのサービスを少ない自己負担で利用できる可能性が広がります。

【デメリット】介護度が上がると費用負担が増えることも

一方で、介護度が上がることが必ずしも「得」とは言えない理由もあります。それは、一部のサービスで1回あたりの利用料金が高くなるためです。
訪問介護(ホームヘルプ)などは介護度による料金の変動が少ない一方、デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所生活介護)、施設サービスなどは、介護度が上がるほど1回(1日)あたりの基本料金(介護報酬)が高く設定されています。
例えば、同じ時間のデイサービスを利用しても、要介護1の方より要介護5の方のほうが自己負担額は高くなります。そのため、必要以上に高い介護度になると、同じサービス内容でも支払う金額が増えてしまう可能性があるのです。
介護度は、ご本人の心身の状態に合っていることが最も重要です。

心身の状態に変化があれば「区分変更」の申請を

書類を記入する様子
要介護認定には有効期間がありますが、心身の状態が大きく変化した場合は、有効期間の途中でも見直しを申請できます。これを「区分変更申請」といいます。
病状が悪化してより多くの介護が必要になった場合はもちろん、リハビリなどで状態が改善し、必要なサービス量が減った場合も対象となります。
現在の介護度が本人の状態と合っていないと感じたら、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談の上、区分変更を検討しましょう。

介護に関するお金の相談窓口

電卓と書類
介護保険制度は複雑なため、費用に関する不安や疑問は専門機関に相談するのが一番です。

市区町村の窓口

お住まいの役所の「介護保険課」や「高齢者福祉課」などが最初の相談窓口になります。介護保険に関する手続き全般について相談できます。

地域包括支援センター

高齢者の暮らしに関する総合相談窓口です。介護費用のことから、利用できるサービス、要介護認定の申請代行まで、幅広くサポートしてくれます。

まとめ:状態に合った介護度でサービスを上手に活用しましょう

笑顔の高齢者と介護スタッフ
介護度が上がることには、利用できるサービスや支給限度額が増えるというメリットがある一方で、サービスによっては1回あたりの自己負担額が増えるというデメリットもあります。
最も大切なのは、ご本人の心身の状態と、必要としている介護の量が、認定された介護度と合っていることです。状態に合わない介護度は、過剰なサービス利用や不必要な費用負担につながりかねません。
介護に関するお悩みや、老人ホームへの入居を検討されている方は、市区町村の窓口や地域包括支援センターのほか、経験豊富な相談員がいる施設に直接相談するのも一つの方法です。
『有料老人ホームスーパー・コート』では、介護に関する様々なお困りごとに対応できる相談員が、皆様からのご相談をお待ちしております。老人ホームへの入居をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。

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